自己評価を促す情報共有の仕組み導入でスタッフ自ら改善を繰り返す組織へ

株式会社アールキューブ 代表取締役 坂田 健

アチーブメント公開講座のトレーナーとして全国を飛び回る坂田氏。年間180日以上、トレーナーを務めながら経営者としては毎年120%成長を当然のように達成し続けている。経営する店舗の一つ、「六本木餃包」は人数が変わらない中、スタッフの主体的な取り組みにより2倍以上の生産性へ。「トップが不在でも人が育つ組織」の秘訣に迫った。

スタッフ全員が事実を基に振り返る習慣を持つ

経営する飲食店の店舗は、私が講師業で不在の場合が多く、中心の意思決定以外の現場はスタッフに任せている状態です。
それでも「自分がいなくても店舗が成長していく」、すなわちスタッフが主体的にPDCAを回し、改善を行う状態がつくられてきており、徐々に理想へと近づいてきました。

最近の仕組みの一部をご紹介すると、たとえば、飲食店のアンケートをスタッフが見るのは業務後が通常。
しかし導入したのはウェブ回答での退店前にお答えいただくアンケートです。
食事中のお客様の回答がすぐにスタッフに共有され、退店するまでに満足度をさらに高めるための改善行動に繋げるというものでした。

また、毎日のPDCAは『グッドシェアリング』と呼ばれるツールを使用しています。
このツールの特徴は「目標設定」「改善」「振り返り」ができることにあります。
業務開始前には、店舗と個人の目標設定をシートに記入しながら、達成のためのアクションプランを構築。
実際の業務中では、自分が立てた目標に向かって自ら行動をとります。

業務終了後には、自分が店舗運営で気づいた改善案も振り返り時にシートに記入し、目標に対する行動を、特に良かったところに焦点を当てながら、自己評価で振り返りを行います。
振り返りのポイントは、「行列が何名できたか?」など様々ですが事実をもとに振り返りをしているということです。

そして、出した改善案や自分の改善した結果を、LINEのグループへと積極的に投稿していきます。
その投稿に対して、周囲からフィードバックがされるため、さらに改善に繋がるという善循環が生まれています。
今では、全員からの改善案を合計すると毎月、300件以上の改善案が上がっています。

「業務のため」から「自分の成長のため」のシートになった『グッドシェアリング』 
「業務のため」から「自分の成長のため」のシートになった『グッドシェアリング』

仕組みは朝令暮改で変動する

ただ、ここまでご紹介した仕組みは、既にもう別のものに変わっているものもいくつかあります。

アンケートは今では覆面調査が主ですし、『グッドシェアリング』もこれまでは業務として必須でしたが、今では自己学習。
あくまで目的は自己成長や共同学習を通じて、よりよい店舗づくりをするためですから、その質を高めるため、スタッフで話し合い、自主性にしたようです。

その他に「自分の給与は自分で決める」という取り組みも始まりました。
「朝令暮改」という言葉通り、朝に決まった仕組みが夕方に変わることは日常茶飯事。

重要なのは、これを店舗スタッフが自分たちで考え、自分たちで決定し、行動しているということです。
通常、これほどの速度で進めた場合、現場が混乱することも懸念されますが、当社は理念浸透が進んでいる結果、良い循環が起きています。

そういう意味で、仕組みは模倣することも重要ですが、あくまでそれはやり方に過ぎません。
自社の成長段階を見極めたうえで臨機応変に変えていくべきだと思います。

主体的に改善が進むために浸透している考え方

今では、仕組みは現場からどんどん上がってきますが、常に私が考えていることは、「モチベーションは本人の内側にある」ということです。

「メンバーはお客様に喜ばれたいと思っている」と信じることが最も重要ではないかと思います。
仕組みやアイデアは山のようにありますが、これらがどんどん流動し、改善につながっているのは、こうした考え方が店舗全体に浸透しているからなのです。

 

坂田 健(さかた たけし)
25歳のときに倒産寸前だった会社を継ぎ、再建を果たす。六本木交差点、京都駅前、バンコク国際空港、シンガポール等で複数業態の飲食店を展開。二度目の大学院に社会人入学し、「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者・坂本光司教授のもとで経営を学ぶ。2013年4月から駒澤大学にて非常勤講師として約450人の大学生に対してキャリア教育も実施。