【まとめ】組織は誰がどう動くかで変わる「自走する組織」実現の5つのポイント

ここまで2社の経営者の取り組みから、幹部社員が変化し自走する組織への変革の経緯を見てきました。
ここからはアチーブメント株式会社の主席トレーナーでありクオリティカンパニー実践塾や幹部講座の講師を務める佐藤が自走する組織作りのポイントをご説明いたします。

アチーブメント株式会社 相談役/主席トレーナー
佐藤 英郎様

今回の特集で紹介された2社の取り組みを拝見し、私自身、非常に学びの多いものでした。特に印象的だったのは、幹部層が現場で〝起点〟となり、自ら組織変革の実行者となっていたことです。トップのビジョンがどれほど明確であっても、現場がそれを〝自分事〟として受け止め、動き始めなければ、組織は決して前進しません。組織が変わるとは、制度を入れ替えることでも、スローガンを刷新することでもありません。誰が、どう動くのか──。この小さな実行の積み重ねが、文化を作り、風土を変え、組織の〝あり方〟を変えるのです。では、組織が「自走する」状態をつくるために、何が必要なのでしょうか。
【1】明確な経営目的の共有と浸透
まず第一に「明確な経営目的の共有と浸透」です。社員一人ひとりが自ら判断し行動する「自走する組織」になるためには、この組織が何を目指し、何のために存在しているのかという経営の目的が明確で、共有されている状態が必要です。そのためにまずは、トップである経営者が企業理念と組織の存在意義を明文化し、発信し続けることです。一度提示しただけでは浸透はしません。経営者や幹部だけでなく現場の社員一人ひとりが自身の言葉で語れるようになってはじめて浸透している状態と言えるのです。何かを判断するとき、決断するとき、経営者が経営目的に沿った判断をしている姿をみせることで、幹部や社員にも伝わるようになります。
【2】コミュニケーションの積み重ね
そして第二に、「コミュニケーションの積み重ね」です。例えば、徳武産業株式会社の德武社長は、自ら社員に問いかけ、社員の話に耳を傾けることから取り組まれていました。業務的な報連相を受けるだけではなく、現場の声に耳を傾け、相手を理解しようとする姿勢を示すことです。この小さなコミュニケーションの先に、強固な信頼関係が築かれるのです。
【3】挑戦や成長を推奨する組織文化
第三のポイントは「挑戦や成長を推奨する組織文化」を社員一人ひとりが体現することです。ミスを恐れたり、上司の顔色を伺う組織では、どれほど制度を整えても自走しません。失敗を学びに変え、挑戦を後押しする文化。それが、行動するためのエネルギーとなります。
【4】幹部の自覚とコミットメント
そして最も重要なのが第4のポイント「幹部の自覚とコミットメント」です。私はよく、経営者の仕事は「決断すること」であり、幹部の仕事は、「経営者の決断を正解にすること」であると伝えています。しかしこれは、単なるイエスマンになれということではありません。トップの意思を現場に「通訳」し、現場の声を経営者に伝える「媒介者」です。組織における幹部の影響力は絶大です。だからこそ、幹部が自らの目的を明確にもち、強いコミットメントをもって本気で動いたとき、組織全体が変わりはじめるのです。
【5】組織を構成する一人ひとりの強い目的意識
最後に挙げたいのが、「組織を構成する一人ひとりの強い目的意識」です。何のために、誰のために、なぜ自分はここで働くのか。自分にとって働く意味とは何か。この問いに対する答えを一人ひとりがもったとき、その人の内側から行動がうまれていきます。だからこそ、さまざまな機会をとおして、メンバーの目的意識を育み続けることが大切なのです。

 

自走する組織は、仕組みを整えることによってつくられるのではありません。経営者・幹部・現場の社員といった、組織を構成するすべての人の行動が積み重なって、自走する組織となるのです。ぜひ、ご自分の立場で実践できるポイントから取り組み、自走し、進化し続ける組織をつくりあげてください。

自走する組織を作るための5つポイント
【1】明確な経営目的の共有と浸透
【2】コミュニケーションの積み重ね
【3】挑戦や成長を推奨する組織文化
【4】幹部の自覚とコミットメント
【5】組織を構成する一人ひとりの強い目的意識

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