発展の立役者の一人は、間違いなく代表取締役の妻で、
専務取締役の田島みゆき氏だ。
社員教育を一手に担い、チャレンジしてきたが、
何が彼女を支え、そして組織の活性化を果たしてきたのか?
お話を伺った。
「ねばならない」を手放したとき、力が出る
私が入社した26年前の田島興産は、組織というより家業でした。
そんななかで、とにかく嫁という役割を果たすのに必死でした。
一方で、社長の人を大切にしたい想いに共感していたので、「田島フィロソフィ」を作るなど、試行錯誤して理念浸透に取り組みました。黒字でもあり、想いは社員に伝わっていると思っていましたが、7年前の連続クレームで危機感を覚えました。現場をよく見ると確かに受け身の姿勢や社風で、一部の社員に依存していました。
また、私たち夫婦は会社が一番で、家庭はその次。子どもが大きくなるにつれてすれ違いが増え、「会社のおかげで暮らせているのよ。そのためにお母さんたちは頑張っている。少しは理解しなさい」と怒鳴ることも。
人を大切にできていなかった毎日が、実はとても苦しかったのです。
そんな私に、『頂点への道』講座は道を示してくれました。初日に「あなたはどんな存在でありたいのか」と問われ、答えられなかったのを覚えています。自分の望みを考えたことがありませんでしたが、ここに存在する意味を見つけたい気持ちは強くありました。
なんのキャリアもない私が社長の妻になって、会社を衰退させたら申し訳ない。私にできることはなんだろうと、考えたのです。
時間とともに見出したのは、会社や社員を誰よりも愛している自分。100年近く地域に貢献してきたこの会社が大好きで、守り続けてくれた先代・先々代、一生懸命に働いてくれている社員への感謝が、どんどん大きくなっていきました。
子どもたちに対しても同じで、生まれてきてくれたこと、たくさん我慢してくれたこと、そのすべてに感謝が芽生えました。大切な人を愛を持って守っていく、それが自分のできることだと心が決まったとき、固い殻が解けていくように感じました。
「守らねばならない」ではない、「守りたい」。私という存在を活かして、貢献したい。そう思いました。
指示よりも問いかけが主体性を生む
以前は、社長も私もよくしたい気持ちが強かったからこそ、一方的に伝えることが多く、それが受け身の社風を作っていたと思います。
業務を全うすることばかり考えていて、社員と本音で会話することや、深く理解することはできていなかったと、いまだから分かります。
受講を通して、自分の生きる目的や存在価値、願望が明確になり、人生が変わったのを身をもって体感したので、社員にもそうなってほしいと月に1回の面談を始めました。
これを6年間続け、仕事・プライベート関わらず本音で話せる関係性をようやく築けてきました。
その信頼関係が土台にあってこそのマネジメントだと実感しています。
社員が自分の強みや存在価値に気づき、仕事にそれを活かす喜びを味わうこと。
私がそうやって自分の価値を見出してきたように、社員も自分の人生を自分で切り拓く強さや、成長の機会を手にしてほしいのです。
だから問い続けます。「あなたはどうしたいの?」「あなたの大切にしたいことはなに?」「あなたの強みたくさんあるよね?それってなに?」答えはその人の中にあると信じているからです。
人の可能性を信じ切るのは簡単ではなく、いまもチャレンジの連続です。私自身の可能性すら信じられなくなるときもありますが、継続学習を経て言えるのは、諦めなければ必ず良くなれるということ。
だからこそ、学び続けています。
想いが届くと必ず結果が出る
「SDGsの取り組みをしましょう」と社員から提案があり、行動憲章を策定してくれました。
「お客様に情報提供の場を作りましょう」と「TAJIMAゼミ」というセミナーを仕組化してくれました。
違いを認める子育てを支援したいと「色彩を使った子どもの知育教室」を始めてくれました。
業務改善のスピードも格段に上がりました。
これは、指示ではなく、社員がこの会社でどうなりたいのかという願望を明確に持つからこその結果です。そして、自分の強みや良さを認め、小さな自信を積み上げた結果です。
人は自ら主体性を発揮し行動を起こせる存在に成長できると社員たちが見せてくれました。
そんな一人ひとりの成長が、私にとって一番の喜びです。
これから先、もっと地域やお客様のお役に立てる組織に成長できると信じ、本当の意味で人を大切にする会社として、未来に繋げる役割を果たしたいと思っています。
佐賀市水ケ江6丁目4番11号
■事業内容 リフォーム・LPガス販売・相続など
■創業 1922年10月18日
■社員数 54名
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