信念の原点は自分への期待である

ゼロから築き上げてきた〝達成者〟へのプロセス
信念の大切さと、達成型思考を鍛えるための4つのステップをご紹介してきましたが、実際にどのように取り組むとよいのか。青木が自身の経験をもとに解説いたします。

「もっと良くなりたい」という一心だった

17歳で社会に出てから50年という月日が流れました。今でこそ経営者・人材教育トレーナーとしての役割に生きていますが、社会に出たときは底辺と言ってもよい存在だったと思います。一つのことを追求し、できると信じてやり続ける人だったかというと、実はその真逆でした。自信もお金も人脈も経験も、何もなく、不誠実で弱くて、約束を守れない、とてもいい加減な人間でした。しかし、たくさんの恩人や仲間に支えられ、今日という日まで歩んでくることが出来たのです。
確信を持って言えることがあります。それは、「信念」も「達成する力」も先天的なものではなく、後天的にトレーニングによって身につけることが可能だということです。私の人生がその何よりもの証明であると思います。ただし、そこには条件があります。「求め続ける」ということです。私は、若い頃何もありませんでした。だからこそ求めました。心の底から求めました。「もっと良くなりたい」「もっと良くなりたい」と、何度も何度も自分に言い聞かせ続け、「お前は一体どうなりたいんだ?」と日々自問自答し続けてきたのです。苦しいときほど、逆境のときほど、手帳を開いては自分を鼓舞し続ける言葉を書き、自分自身を叱咤激励してきたのです。不安や恐れのほうが大きかったと思います。それでも出来ると念じ続けました。「今がだめでも、もっと良くなれる。未来はいかようにも変えられるんだ」と言い続けてきました。その自分自身の未来に対する期待だけは、絶対に手放しませんでした。
常によりよい未来へと向かい、思考を拡張させていくこと。これが信念を育み、達成型思考を鍛える1つ目のステップと言っていいでしょう。

大切なのは、目の前のことを確実にやりきること

ただし、言うまでもなく、思いだけでは人生は変わりません。自信も信念も達成力も、結局は日々の実践からしか積み上がっていきません。何を考え、何を言うのかではなく、何を実践しているかです。最初は大きいスケールで物事を考えるのがなかなか難しいので、今日一日に焦点を当てて、とにかく集中して取り組みました。セールスに従事していたときは、一日のプレゼン数を目標に設定し、必ず達成できるプランを綿密に練り上げました。ありとあらゆるリスクを考慮して、何があっても達成できるように何度も何度もシミュレーションをするのです。これが2つ目のプランを立てるステップです。
そして、3つ目のステップは、描いたプランに沿って徹底的に実践していくことです。描いた通りの優先順位での実践です。気分で変えるのではなく、優先順位の高いこと、すなわち目標達成に対して最も役に立つことから順に、取り組んでいくということです。私は『頂点への道』講座のなかで、「目標達成に役立つことは重要。役立たないことは重要ではない。優先順位を守ることが成功の条件である」という言葉をお伝えしています。この言葉にすべてが詰まっていると言っても過言ではありません。達成しない人の特徴は感情に流されて、やりたいことをやっています。そうではなく、優先順位の高いことから行うという理性で自分をコントロール出来る人こそが、結果を創り出すことができ、達成を手にし、信念を育めるのです。

20代の頃に使用していた手帳。幾度も自己暗示をし続け、思考を拡張させてきた。

一歩ずつ積み上げた自信が信念に変わる

そうして、毎日努力をし続ければ、自ずと結果が変わります。ときには達成できないこともあるでしょう。そんなときに大切なのが振り返りです。全力で取り組んでいたにもかかわらず、うまくいっていないということはなにかがズレています。それを検証していきましょう。上記で紹介してきたステップに本当に忠実に取り組んできたのかを徹底的に振り返るのです。自分で原因がわからなければ、メンターの人にアドバイスを貰うのもいいでしょう。そして、出てきたアイデアをまた実践していけばいいのです。これを繰り返すなかで、達成する確率は必ず上がっていきます。その成長に比例して、信念も育まれていくことでしょう。反対に達成していたとしたら、その経験を言語化して、次にまた同じことが出来るようにしていくのです。一日単位では小さな達成かもしれませんが、積み重なったら大きな力に変わります。なぜなら、自分が描いたことが現実になる経験の数こそが、信念の強さに比例するからです。
■達成型思考を鍛える4つのステップ

アチーブメント株式会社 代表取締役会長 兼 社長
アチーブメントグル―プ 最高経営責任者(CEO) 青木 仁志

北海道函館市生まれ。若くしてプロセールスの世界で腕を磨き、数々の賞を受賞。1987年のアチーブメント株式会社設立以来、44万名以上の人材育成と、5,000名を超える経営者教育に従事し、理念経営を志す企業を数多く輩出。講師を務める『頂点への道』講座スタンダードコースは、28年間で700回毎月連続開催を達成したロングラン公開講座であり、新規受講生は3万6,574名にのぼる。現在は経営者を対象としたアチーブメントテクノロジーコース特別講座の講師を務める。35万部を超える『一生折れない自信のつくり方』シリーズを始め、累計62冊の著書を執筆。

達成を創り出してきた方々のストーリーから、信念の育み方を学んでまいりましょう。

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