身につけたい7つの習慣がもつ計り知れない力
夫婦間の暴力や子どもの虐待などが社会問題として数多く取り上げられていますが、この問題に20年以上対峙してきました。そのなかでも、選択理論は私に大きな力を与えてくれています。私のもとを訪れるのは家族に出ていかれたDV加害者の方々です。その方々に選択理論をお伝えし、自分のセルフコントロール力を高めてもらう支援をしています。当然ながら最初は皆さん切羽詰まった状態でお越しになられます。何もかも妻に依存していて、妻に自分の欲求を満たしてもらうことが当たり前の状態で、その妻が急にいなくなるのです。生きていけなくなる人もいます。彼らに対してまずするのは、ただただ話を聞き受け止めるということです。それだけで心を入れ替えてくれる人もいます。「どこに行っても批判されてきました。初めて自分という存在を受け入れてもらえる場所に出会えました」そう言ってくださる方も少なくありません。致命的な7つの習慣を受けて生きている人は、それを使うことが当然になります。だからこそまずは私たちが身につけたい7つの習慣で接するのです。そうして、この環境を上質世界に入れてもらえてからようやく具体的な行動や言葉掛けを学んでいきます。
加害者側が怒りを選択したり暴力を振るってしまう前には必ずネガティブな考え方があります。これをいかにポジティブに切り替えていくかという角度からサポートしているのです。簡単な声掛けから、自分の欲求充足の手段を含め年に52回受講してもらい、選択理論を身に着けていきます。
私たちが信じるのは加害者が変われるという可能性
これまで1000組ほどの夫婦の支援をしてきましたが、うち8割が関係を取り戻してくれています。時間はかかりますが、一歩ずつ歩み寄り、選択理論的な関わり方・生き方を体得していくなかで、果たされていったことです。たとえどんな状況にいたとしても、加害者の方は、自ら変わっていく力も、よりよくなる力も持っていること、それを私たちが誰よりも信じて、支援することを心がけています。社会からDVという言葉が消える日を目指して、これからも活動してまいります。
栗原 加代美
2001年、DV被害者を保護するシェルターを開設。より根本的な問題解決を目的に、2011年からは年52回受講する加害者更生プログラムを開始。これまで1000組ほどの夫婦関係、親子関係が壊れた夫婦の支援をし、うち約8割は加害者の行動改善が果たされ、関係修復に至る。テレビ、新聞、雑誌等で加害者の変化を訴える。全国各地で講演会を通して、高校生、児童相談所職員、警察官、市役所職員、学校の教師等にDVの直し方を伝えている。
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