「私は正しい。相手が間違っている」——
そう思いながら話した結果、その人との関係がギクシャクしたり、すれ違いが起きたりしたことはありませんか。同じ出来事や状況を目にしたとき、「きっと相手も自分と同じように考えているはずだ」と思い込みがちです。しかし、相手が自分とは違う捉え方をしていると気づいたとき、私たちは「私は正しい。相手が間違っている」と考える傾向にあります。なぜ、事実は一つでも、一人ひとりの捉え方が違うのでしょうか。
選択理論心理学では、その理由を5つの基本的欲求(生存、愛・所属、力、自由、楽しみ)のバランスや強弱と、脳の中にある上質世界(Quality World)の違いにあると考えます。上質世界には、その人が大切にしたいと思う、人やモノ、考えなどのイメージ写真があり、個人の経験により蓄積されていくので、全く同じ上質世界を持つ人はいません。一人ひとりの上質世界が違うため、一つの事実に対する反応が違ってくるのです。
たとえ夫婦や親子といった親しい間柄であっても、上質世界は同じではありません。あなたの「正しさ」は、あなたの人生経験と5つの基本的欲求や上質世界から生まれた〝あなただけの正しさ〟なのです。
もしも「一人ひとり上質世界が違う」という前提で周囲の人と接したら、関係性はどう変わるのでしょうか。
本特集では、子育て、夫婦関係、事業承継、マネジメントという4つの場面で、〝正しさ〟を手放し、より良い人間関係を築いた5名の事例をご紹介します。