プロフェッショナルの歩き方

過度な運動には命を削るリスクがある

運動には、集中力アップやリフレッシュ効果などがあります。
健康維持だけでなく、人生を豊かにするには欠かせません。
運動がもたらす恩恵を疑う人はいないと思いますが、問題は〝適度な運動かどうか〟ということです。

たとえば、最近は街中を走るランナーが増えましたが、息切れするほど過度な運動は、心臓に相当な負担をかけています。

肥満大国の欧米には「Running to Death(死に向かって走る)」という言葉があり、激しいランニングは自殺行為と同じようなものとされています。
健康のために始めた行為が、逆に命を削ることもあるのです。

かかりつけ医師のように、専属のスポーツトレーナーがいれば話は別ですが、自分にとって、適度な運動の基準を理解しておくのは重要なことです。

そこで今回は、心臓をケアし、なおかつ、効率よく代謝を上げる歩き方〝パワーウォーキング〟をご紹介します。

義務の運動から、楽しい運動へ

パワーウォーキングとは、元競歩の金メダリストであるハートヴィッヒ・ガウダー氏が考案した歩き方に、私が医学的な要素を加えたものです。

ポイントは〝歩き方〟と〝心拍数〟です。〝歩き方〟は、踵から着地をして、足裏の中央からつま先へと足裏全体をローリングするように体重を移動します。
足裏だけのペタペタ歩きと比べて、第二の心臓と言われるふくらはぎの運動量が増加します。
歩くスピードは通常の1・5倍程度の早歩きを意識して、15分間おきに自分の〝心拍数〟を測ります。
10秒間数えて6倍にすれば、1分あたりの心拍数が計算できます。

有酸素運動の目安となる1分間の心拍数は、40代は108~135、50代は102~128、60代は96~120。
この数値を基準にして、下ならば歩くスピードを上げて、超えていたらスピードを落とします。

無理な運動をするよりも、心拍数で調整して有酸素運動を継続した方が、代謝が上がり、効率よく脂肪が燃焼できます。
さらに、身体に必要な酸素を100%取り込めるので、心臓への負担も減ります。

パワーウォーキングは自分の身体と相談しながら続けられる、理想的な運動です。
一般的なランニングは距離を目標にしますが、パワーウォーキングは有酸素運動の継続時間を目標にします。
30分、45分、60分と時間を伸ばしていきます。
最初は無理のない15分から始めて、習慣化しましょう。

なぜ、運動が習慣にならないかというと、義務感から身体を動かしているためです。
子どもがゲームをやり続けるのは、楽しいから。
大人も同じで、自分なりの楽しさを見つけないと長続きはしません。

ただの運動の時間を〝景色を楽しむ時間〟や〝街を探索する時間〟など、楽しい方向に解釈を増やしていきましょう。