健康診断では見つからない病気の種

隠れ自律神経失調症にご注意

「健康診断で問題がないから大丈夫」と思っている人は多いと思います。
しかし、「診断ではオールAなのに、何となく気力が出ない」という人もいます。

実は、健康診断ですべての不調が見つかるわけではないのです。
健康診断とは、広く浅く病気を拾うもの。
「問題がないから、がんも心臓病も心配ない」ということではありません。

そもそも健康とは、だるさや疲れ、不安感などがなく、常に心身が活力に満ちている状態のことです。
精神的な安定感もまた、健康の一部といえます。

実際に、心臓に違和感を覚えて来院された患者さんには、精神的ストレスで自律神経のバランスを崩しているケースが多く見られます。
自律神経の乱れは、がんや高血圧など、ほかの病気のトリガーとなることが少なくないのです。

次の「隠れ自立失調症」チェックで、自分が本当に健康か確認してみましょう。

1.手足が冷たい
2.暑くないのに汗が出る
3.食欲が失せる
4.感情が不安定
5.早寝早起きができない
6.やる気が出ない
7.暴飲暴食をしがち
8.感動しない

チェックが2つ以上あると、自律神経失調症の前兆といえます。
ほとんどの項目にチェックが入ると、重度の可能性があり、治療が必要なこともあります。

呼吸と感動で自律神経を鍛える

自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあり、驚きや興奮で活性化されるのが交感神経。
血管が収縮して血圧を上げようとします。
同時にアドレナリンが分泌され、体を奮い立たせます。

その作用が収まってくると、次に優位になるのが副交感神経です。
エンドルフィンというホルモンが出て、脳を「気持ちいい」という状態にさせます。
すると、血管や毛穴が広がり、汗が出ます。

ただ、高齢になると血管が硬くなり、副交感神経が優位になっても血管が広がりにくくなるので、どうしても高血圧になりやすくなります。
血管の弾力性を保つためにも、日頃から意識的に、交感神経、副交感神経の両方をバランスよく鍛えましょう。

その上で有効なのが、軽い運動や、感動する機会です。
運動や感動には、交感神経を働かせたあとに副交感神経を刺激する働きがあるからです。

感動でおすすめなのは、絵画や骨董品などの芸術品です。
単に自律神経を鍛えるだけではなく、精神面の健康につながるメリットもあります。

心が豊かになれば、いくつになっても意欲に満ちた日々を過ごせます。

運動時は、長く息を吐く呼吸法も効果的。
呼吸における「吸う」は交感神経を活発に、「吐く」は副交感神経を優位にする働きがあります。

ジョギングなどの際には、「吸う」と「吐く」を1対2の割合で繰り返し、疲れを感じたら深呼吸をしてみてください。
副交感神経が働きやすくなります。