自律神経を鍛える運動法と食事法

「ながら運動」は良くない

がんや糖尿病といった病気はもちろん、さまざまなウイルスに負けない身体を作るためには、免疫力を高めることが大切です。そこで欠かせないのが、適度な運動とバランスの良い食事。この2つを意識すれば、交感神経と副交感神経をバランスよく鍛えられるので、免疫力アップが期待できます。

ポイントは、五感を刺激する方法で運動や食事を楽しむこと。そうでなければ、せっかくの運動や食事から得られる効果も半減してしまいます。

たとえば、音楽を聴きながらジョギングをするといった「ながら運動」は、よくないトレーニング法と言えます。走っていると疲れや苦しさを徐々に感じ始めますが、そこで「もう少し大丈夫かな」などと葛藤しながら走り続けることで交感神経が鍛えられていきます。音楽などで頭がブロックされていると、その葛藤に意識が向かなくなるので、交感神経が刺激されにくいのです。

運動で交感神経のレベルが上がれば、副交感神経も徐々にそれについてきます。副交感神経には血管を広げて血流を良くし、酸素を全身に行き渡らせる作用があるので、五感を使ったトレーニングで交感神経を鍛えていけば、おのずと副交感神経も鍛えられ、自律神経のレベルが上がっていきます。結果的に心臓の拍出容量も大きくなり、適度な心拍数を維持しながら、長く走れる身体になっていきます。

食事は五感を使って味わう


一方の食事も、味覚や嗅覚、触覚などをフルに使っておいしさを味わうことが、自律神経を鍛えることにつながります。

そもそも「食べる」という行為は、交感神経を刺激するもの。ですから、五感を使わずに食事をすると、交感神経ばかりが刺激されてしまうのです。

テレビを見ながら味わわずに食べていると、満足感を感じにくくなります。また、腸が動き出すのは、食べた刺激で交感神経が刺激され、それに副交感神経が付いてくるから。味わいながら食べることこそが刺激になりますので、テレビを見ながらなどの「ながら食事」を続けていると、お腹ばかりが余計に膨れて、消化も悪くなっていきます。

食後のコーヒーでも、「産地はどこだろう?」「酸味が強いな」などと感じながら飲むことで、副交感神経が付いてきます。考えたり、味わうのが難しければ、せめてよく噛んでゆっくりと食事を楽しみましょう。