福岡県中小企業技術・経営力評価制度にて、
2021年に県内歴代最高得点を叩き出した第一電建株式会社。
業界TOP1%の売上規模を誇り、
今も卓越した成長を続けていますが、
その大きな転換点とは何だったのか。代表の髙山氏に伺った。
1974年福岡県生まれ。2009年に電気工事・インフラ整備をメイン事業とする第一電建株式会社の代表取締役社長に就任。業績は10年以上連続右肩上がりで、就任時から約300%以上の成長を遂げ、2016年には事業規模10億円を超える。
学ぶと実行するは全く違う
代表を継いでから5年が経った頃、私が目指していたのは売上10億円を突破するという目標でした。
社員を鼓舞し、必ず達成しようと奮闘していましたが、その壁は思っている以上に高かったのです。
気がつくと、1通また1通と退職届が私のもとに届くように。
「何もわかってない、気合が入ってない!けしからん」。当時の率直な思いです。
社員が悪いと思っていました。
根性がなくて、やる気がない、それが問題だと思っていました。
その頃に知り合いの経営者からアチーブメントを紹介いただいて受講をスタートしました。
経営に関する学びはそれまでもたくさんしていたので、勉強会のようなものはもういいかなと思っていましたが、3日間の講座を学んで私が率直に感じたのは、学んでも何も実践していなかった自分の課題でした。
成功の原理原則や、経営哲学などは、書店に行けば山程本がありますし、研修などでも学んできました。
しかし、知っているレベルと、できているレベルはまったく違うものであると改めて噛み締めたのです。
売上を上げるためにやるべきことは確かに実践していましたが、一致団結した組織・理念浸透型の組織を作ると口では言っていたものの、実際にはそこに力を入れていなかった自分がいました。
何のために10億円を突破していくのか?その「目的」を考えさせられた時間でした。
そして思ったのです。ここで学び続けることができれば、良い経営ができる「技術」を体得できるかも知れないと。もう一度襟を正して、自分を磨こうと心に決めたのです。
生き方で理念を語るのが経営者の役割
「街と人の明るい未来の架け橋に」。これが私たちが目指す企業の姿です。
電気工事業者として、喜びと安心をお客様に届けて、豊かな暮らしを支えていく存在です。
それを言葉では様々な場面で伝えてきましたが、学び続けるなかでなにより考えたのは、「私はこの理念に生きているのか?」ということでした。企業理念の前に、経営者自身の人生理念がある。
では私は、どんな人間でいたいのだろうか。自問自答を繰り返しました。
そして見つけたのが「愛、責任、感謝」という3つの価値観です。
そしてその先に目指していく自分像というのが、「縁ある人の未来を照らす漢」です。
そんな存在として生きていきたい、強い強い願望が私を突き動かし、日々の社員との関わり、家族との関わり、時間とお金の使い方に変化をもたらしてくれたのです。
理念を言葉で語ることはいくらでもできますが、何より大事なのはそれを経営者自身が自分ごととして落とし込み、言葉ではなく生き方を通して語ることなのだと思います。
だからこそ、経営者自身が確固たる人生の土台を確立し、目指す自分の理想を決めていくのが大切なのだと思います。
信頼に相応しい自分を生きる
そんな土台ができてからは、モチベーションの波がなくなりました。
「一番身近な社員の未来を照らすことができているのか?」という問いを自分に投げかけるたびに、まだまだできることがたくさんあると、燃えてきます。
少しずつ取り組んでいくなかで、一緒に働く社員を幸せにすることが、何よりの求心力になるのだと腑に落ちていきました。社員にとって見れば、魅力的な会社というのは、自分の願望を実現できる場所、それだけの成長のチャンスが与えられ、豊かに生きられる場所なのだと思います。
ならば、それを提供できる自分になろう、それがまさしく未来を照らすということだ、そう思って社員に寄り添い、願望を聞き、支援を続けてきました。
試行錯誤はありましたが、結果として社員の理念に対する理解が深まり、この会社で働く意味を見出してくれていったと思います。
気がつくと、売上は10億円を優に超えていました。加えて、福岡県中小企業技術・経営力評価制度という、第三者評価機関の評価にて福岡県歴代最高得点を獲得することができました。
社員が作り上げてくれたこの組織を心から誇りに思います。
■所在地 〒812-0881
福岡県福岡市博多区井相田2丁目8-15
■事業内容 電気工事・インフラ工事など
■創業 1971年6月
■社員数 54名
■Webサイト https://www.rios-group.co.jp/