人や組織を動かす原動力は「目的」にある

ゼロから業界を変えていく挑戦の物語
■前例のない領域で事業を立ち上げ軌道に乗せる
■約9年で売上が10倍に成長
■農林水産省や大手企業の協力を得てさらなる事業の拡大に着手

一歩踏み出してから身をもって知った無謀さ

「俺は明日から無職になるんだ」。初めて『頂点への道』講座を受講したときのことです。3日目の講座中、電話が鳴り止まず、折り返すと「代表が逃げた」との一言。当時勤めていたIT企業の倒産が決まったのです。管理職を務めており、成長しようと学びに来たにもかかわらず、あまりにも急な展開で、現実味がありませんでした。「明日からどうしようか…」という一抹の不安がありましたが、幸い講座の中ではポジティブな方々に囲まれていましたので、冷静になって物事を考えることが出来ました。会社の整理をするなかで、進退を考えていましたが、農業を営む実家の跡継ぎをした弟の姿を見て、どうにか弟や家族のために出来る仕事に就きたいという思いがふつふつと湧き上がってきました。そこで、「農業×テクノロジー」という新しいジャンルを切り拓いていこう、と思い立ち、一人で起業をすることに決めたのです。しかし、言うまでもなく苦難の連続でした。今でこそ、スマート家電などが浸透しつつありますが、当時は全くその気配はなく、ましてや田舎の農家でITやシステムが受け入れられるかというと、至難の業でした。加えて、「一緒に働かないか」と誘ってくれていた方々にも、起業したと伝えると音沙汰がなくなることも多々ありました。あまり後先を考えずに起業をしてしまったことを悔いながらも、未来を考えると求められている事業のはずだと、右往左往しながら一日一日を生き抜いてきました。

「目的」が溢れる力に変わった瞬間

水田の水管理工程を自動制御する
『paditch gate(パディッチゲート)』

そうして奮闘しながらも『頂点への道』講座を学び続け、もっと強い信念を持ちたいと、自分の等身大の思いを幾度となく整理していきました。そして、大きなきっかけが訪れたのです。それは、祖父の死でした。脳卒中で倒れ、間もなくして亡くなったのです。アチーブメント社の講師資格にチャレンジする過程で、半生を回想していたタイミングでもあり、このことが私にとって、私自身のルーツと、人生の目的に立ち返らせてくれたのです。下村家は、代々農家を営んできました。先祖から祖父に、そして弟に受け継がれてきたこの家業の重さを改めて噛み締めた機会でもありました。私がこの家で生まれ育ったことも、今こうして生きていることも、全ては農業があったからこそのことです。感謝の思いが芽生えました。そして、その農業を私は変革させると決意して、事業を起こしたのです。起業すると決めた当初は正直軽い気持ちでしたが、本当にこの業界で私が成功したときに、どれだけの人たちの力になれるのかを真剣に考えると、数多くの方の笑顔が見えたのです。それがまた、私を後押しする大きな力に変わっていきました。この業界に、家族に、大切な人たちに、もっともっと笑顔を届けたい、そんな人たちに恩返ししたいと心の底から思いました。体力的にも精神的にもきついと言われがちなこの業界ですが、その負担を軽減するだけでなく、より効率的で、高品質な生産を可能にする力が、ITにはあると私は信じています。そして、ITが農業と掛け合わさったときに、今まで以上に若者世代にとっても憧れられる職業になると思うのです。その未来を見越して、この業界に従事するすべての人が勝てる未来を見越して、改めてチャレンジすると心に決めることが出来ました。本当の意味で揺るがぬ信念が育まれた瞬間だったと思います。

「目的」に生きれば必ず夢は叶えられる

目的が浸透した一枚岩組織に

それ以降は、社員に伝えるメッセージが変わりました。お客様との商談内容が変わりました。そしてシステム開発への熱量も変わりました。成約率が向上し、社員のモチベーションが向上し、売上も上がっていきました。等身大に私の思いや志をお伝えするたびに、共感をいただいて、より力ある方をご紹介いただけるようにもなりました。おかげさまで今では農林水産省からの協力をもらいながら、活動することも出来ています。いつでも伝えるメッセージは、「恩返しの人生を生きる」という目的であり、私の使命です。この目的に、使命に立ち返り続けるたびに、力が湧いてきます。絶対に目標達成しようと魂が燃えていきます。だからこそ、前に進み続けることが出来ています。まだまだ道半ばです。これからも目的を大切にしながら、挑戦の毎日を送っていきます。

■下村氏が活用した達成型思考を鍛える4つのステップ

株式会社笑農和 代表取締役 下村 豪徳
富山県の農家生まれ。IT企業で生産管理・購買業務のシステム開発に携わった後に、2013年に「農業×テクノロジー」という新分野で株式会社笑農和(えのわ)を創業。人脈、資本、商品、アイディアがなく、業界から受け入れられない経験が続くなかでチャレンジし続け、規模を拡大させる。コロナ禍でも過去最高売上を達成し、農林水産省からもその将来性を見込まれており、多額の出資を得ている。

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