事例1 躍進を遂げる「クリエイティブ人材」の育て方 コロナ禍で50店舗の出店を 達成した新規事業立案の舞台裏

躍進を遂げる「クリエイティブ人材」の育て方

コロナ禍で50店舗の出店を達成した
新規事業立案の舞台裏

コロナ禍により軒並み廃業に追い込まれた飲食業界、しかも居酒屋という悪条件で50店舗もの新規出店を果たせたクリエイティブな新規事業の設立背景とは?

エンターテインメント性がヒットして50店舗出店に成功

「0秒レモンサワー」を提供する「ときわ亭」を中心に経営しておりますが、おかげさまでコロナ禍でも店舗拡大を果たすことが出来ました。焼肉店ならではの換気の良さや、セルフサービスなども追い風となりました。業界的にも珍しい客席に設置されたレモンサワーサーバーがクリエイティブな取り組みと評価され、フランチャイズオーナーをやりたいというお声もたくさんいただき、コロナ禍ではありますが50店舗を出すまでに成長してきました。お客様に喜んでいただけるサービスの提供が出来ており、求められていること、それが何よりの喜びと感じています。

倒産寸前の危機、人を大切にする経営へ

結果だけ聞けば良いように聞こえますが、実はコロナの影響を大きく受けたことも事実です。「ときわ亭」の前は、チーズフォンデュを売りにした店舗を74店舗出しており、従業員数も900名を超える組織でした。しかし、営業自粛の流れを受けて赤字に陥りました。半分の店舗が閉鎖に追い込まれ、赤字額は毎月1億円。文字通り倒産寸前でした。諦めそうになった瞬間も多々ありましたが、支えてくれたのは社員たちです。実は「ときわ亭」を出そうという動きはコロナ前からありましたが、一気に加速したのが、この大逆境の最中です。そのプロセスは私がいち経営者として、経営を根本から見直してきたプロセスでもありました。

客席に設置されたサーバで有名な『0秒レモンサワー』

それまでの経営スタイルといえば、マーケティング戦略や販売戦略を徹底的に練り上げて、トップダウン形式で私が牽引してきましたが、社員が言いたいことを言えない環境であったと思います。店舗のスタッフから「本部の人たちは仲が悪そうにみえる」と言われていたのです。経営者としての力不足を感じて、抜本的に改善しようと決めて取り組みました。まず社員の本音を聞きたいと思い、「自社の不都合な真実」と題して、思っていることを全て出しあう場を設けました。そこで出た意見はショックなものもありました。『お客様と働く仲間の「笑顔」と「ありがとう」の輪を広げ続ける』というミッションを掲げてはいましたが、それがこれでもかというくらいに社員には伝わっていなかったのです。その一番の阻害要因が、私のトップダウンだったのです。社員を幸せにしたいという気持ちはたしかにありましたが、「俺についてくればいい、俺が正解を指し示す」というスタンスでしたので、社員からしたら面白くありませんし、第一社員が何を求めているかを考えていませんでした。正しさを押し付けていたのです。

社員に明確な理念があるからこそ理念浸透できる

会社に社長と社員の人生理念が貼り出されている

上がった意見を一つひとつ吟味していったところ、絶対的に私たちに必要だったのは深い信頼でつながった人間関係でした。それを創り上げるためには、お互いのことを知る必要があると、週に一度の会議で「人生理念」のプレゼンテーションをするワークを幹部会議で始めました。仕事に限らず、人生を通して何を実現していきたいのか。それを3人ずつ話してもらいます。そこに対して、私を含めた全幹部で質疑応答し、一緒に深堀りしていく支援をしました。アチーブメント社のi-Standardを導入した効果もあり、幹部社員の人生理念が確立されていきました。個人の損得ではなく、企業理念の実現に向けて全員が力を出し合う。それが自分自身の理想の実現にもつながっているからこそ、本気が出る。
目指す先は、お客様と仲間の「笑顔」と「ありがとう」を創り出すこと。試行錯誤をして時間はかかりましたが、会社のミッションに対する共感度も、社員の相互理解も進み、達成へのこだわりがより醸成されました。「0秒レモンサワー」も、実はこのような環境で、従業員がより「ありがとう」と言ってもらえる仕事に集中してほしい、という思いから生まれたアイデアです。それがお客様の笑顔にも繋がり、ミッションを果たせると確信を持って採用したのです。会社に社長と社員の人生理念が貼り出されている
起死回生の逆転劇と言ってもいいのかもしれません。50店舗の出店、そして関係性の良い職場、達成を全力で追う文化などと、どれをとっても私一人では到底生み出せなかったことです。社員の力であり、社員が成長したからこそ実現できたことです。人こそが最大の資産であると、改めて噛み締めた出来事でした。理念経営そして、人を大切にする経営をこれからも追求し続けてまいります。

クリエイティビティは、ミッション志向の産物である。
ミッション志向の土台が、「信頼関係と主体性」であり、
社員がお互いのことを知れる環境がそれを創り出す。
GOSSO株式会社 代表取締役 藤田 建
1974年シカゴ生まれ。IT関連企業で結果を残した後に、27歳で飲食事業を志し、30歳で起業。従業員幸福、家族幸福、お客様幸福を大切に経営。実質無借金経営を継続し、年商42億、経常利益10%を確保。従業員数も900名74店舗に成長するものの、コロナ禍で売上が半減。毎月1億の赤字を出しながら倒産間際まで追い詰められるなか、「0秒レモンサワー仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」をオープンし、FCを含め2年で50店舗を展開。飲食事業であるにもかかわらず、V字回復を果たす。その卓越した業績を評価され『外食アワード2021』を受賞。2009年『頂点への道』講座 初受講。

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