躍進を遂げる「ロイヤルティの高い人材」の育て方
離職率80%から5.4%に人が育つ組織への変革ストーリー
報酬や待遇ではなく、社員が志に集う組織への変革を遂げ、コロナ禍でも躍進を遂げていくために何をすべきか?
営業会社の常識を疑うことから始まった
創業当初の資本金は30万円でした。前職の経験から、なんの疑問もなくフルコミッションで事業をスタート。売れなければ営業として存在意義はないと本気で思っていたので、社員に裏で悪口を言われるのが日常茶飯事でした。そんななか、信頼していた社員が2人同時に離職。彼らを思って指導した翌日です。とてもショックでした。社内の人間関係は最悪で、売り上げもいまいち。社長である自分が会社に行きたくない毎日で、なんのために誰のために経営をしているのか、これならいっそのこと潰して就職した方がいいのではないかとすら考えていました。
商品やサービスを通してお客様の喜びを作り出せる営業の仕事が私は大好きで、もっとその道を追求したい、もっと本質的にお客様に関われる仕事がしたい、そんな思いで独立をしました。しかし、現状の会社の仕組みはその真逆。誰も幸せになっていませんでした。ここまで来たら失うものもあまりない、元々の創業の思いに振り切ってみようと思ったのです。ゼロベースでどうしたら理想を実現できるのかを真剣に考え始めました。まず疑ったのはフルコミッションでした。確かに夢のある仕事ですが、稼ぎ続けられるのはごくわずかな人たち。それ以外の社員はみんな不安で苦しそうでした。そんな精神状態では、お客様に寄り添った提案ができるはずがありません。自分の生活の安定が保証されて初めて貢献の気持ちが湧くのではないか。そう思って、思い切ってフルコミッションの仕組みを廃止したのです。
こだわったのはチームで成長できる組織
もちろん、反対の声もありました。しかしそれくらいの変革をしなければ、何も変わらないと考え、断行したのです。その代わり、大切にしたのは、チーム力です。個人評価からチーム評価に仕組みを変えました。つまり、トップの人たちが自分の経験やスキルを他人に分かち合えば分かち合うほど、メンバーが成果を出せば出すほど、全員が豊かになれる仕組みです。そして、私たちが本来目指しているものとは何かを徹底的にメッセージし続けました。
「お客様に感動を届ける」。それが私たちが大切にし続けてきたテーマです。圧倒的な顧客満足の先にこそ、会社と社員と社会の繁栄があると私は信じています。これまでは語ることがあまりありませんでしたが、どんな思いでこの会社を立ち上げ、本当はどんな姿を目指したいのか、そして何より社員に幸せになってほしいということを、等身大で伝え続けたのです。一筋縄では行きませんでした。どうしたら社員が幸せに働けるのか、たくさん話し合いました。たくさん試行錯誤しました。社員の強みを伸ばすためにと、新たに部署もいくつか立ち上げました。うまくいかないことの方が多かったです。しかし、私の心意気と社員と真剣に向き合いたいという心が少しずつ伝わっていったのだと思います。一人ひとりが願望を描き、この組織で実現していける支援を徹底してやり続けました。
全ての躍進の原点は社員だった
アチーブメント社の組織変革研修や、新卒採用などにも取り組み、理念から一貫した社員の採用と育成にはとことん投資をしました。一歩ずつですが、社員のスタンスが変わり、社員が育ち、事業と会社の未来を本気で考え、チームでともに成果を追求していく文化ができていったのです。おかげさまで、コロナ禍でしたが増収増益を達成でき、アジア太平洋地域の急成長企業ランキング 2021にランクインさせていただくまでに成長することができました。
かつて離職をしようとした人の中には独立を考えて、という人もいました。今はそういう社員から相談を受けたときには、むしろ応援しています。必要であれば、経営ノウハウや人脈、資金を提供する場合もあります。私自身がそうであったように、その社員の真の成長を考えたら、独立によって得られるものも大きいからです。会社都合ではなく、どうしたらその社員が幸せになるのかという視点で物事を考え、関わる。ここにこだわっています。しかし、不思議とそう関われば関わるほど、離職率は減っていったのです。「ともに目指したい」「この会社で理想を追求したい」そんな声をたくさんもらうようになりました。社員は宝です。社員こそが企業発展の礎であり、力です。大切にし続けて、お客様に貢献し続ける企業をこれからも目指し続けて参ります。
突き詰めた先に、高い社員ロイヤルティの醸成と
売上目標だけでは達成できない躍進が待っている。
太陽光発電・蓄電池の販売をメイン事業として展開。業界で常識とも言えるフルコミッションを廃止し、社員が幸せに働ける組織を追求する。主体性あふれる組織を実現し、コロナ禍でも業績を伸ばしており、アジア太平洋地域13カ国、100万以上の企業を調査対象とした「High-Growth Companies Asia-Pacific 2021」(アジア太平洋地域の急成長企業ランキング 2021)で48位(日本企業では6位)を達成。2019年『頂点への道』講座 初受講。
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