Section1 実践者に学ぶマスターマインドグループの作り方 「100兆円」に挑む最強の仲間たち 世界を変革する「ビジョン」、未来を切り拓く「目的」

刻一刻と変化する現代社会において、私たちのビジネスや人生を成功へと導く力は、「思考」と、その思考に魂を共鳴させ集う「最強の仲間」にほかなりません。14歳でナポレオン・ヒル博士の『THINK AND GROW RICH』と出会い、そこから刺激を受けて社会課題の解決を目的とした壮大なビジョンを掲げ、投資先企業群の合計時価総額が約5000億円の規模を創り上げたミダスキャピタル代表パートナーの吉村英毅氏と、目標達成の技術を伝え続けてきたアチーブメントの青木仁志が、その本質を紐解きます。

原点は14歳の「思考」壮大なビジョンが運命の仲間を惹き寄せる

青木 吉村さんはまさに、「思考は現実化する」という哲学を体現し、歴史を創られている経営者でいらっしゃいます。代表をされているミダスキャピタルは、主に未上場株に対する投資を通じて投資先と企業群を形成し、将来的に投資先企業群の時価総額の総計100兆円を目指すという壮大なビジョンを掲げられています。

吉村 ご紹介ありがとうございます。ミダスキャピタルは、「日本発の世界に冠たる企業群を創り上げたい」という思いからスタートしました。たった1社でGAFAに代表されるような世界的な企業に立ち向かうのは至難の業ですが、チームの力で挑めば自ずと可能性も見えてくる。そして日本を牽引し世界を牽引できるような存在へと成長を遂げていきたいと思い、挑戦を続けてきました。ミダスキャピタルは自己資本のみを運用しており、買収した会社は原則転売はせずに、全案件上場させて、上場後も半永久的に対象会社の筆頭株主であり続けるというスタイルを取っています。おかげさまで現在では時価総額約5000億円の企業群へと成長しました。

青木 素晴らしい実績ですね。特に私が感じている吉村さんの魅力は、これらの事業に明確な「目的」を持って取り組んでいることです。同時に設立されたミダス財団では、ミダスキャピタルの収益を基盤に活動しており、国境を越えた社会課題の解決に情熱を注ぎ、その先にある、「世界中の人々が人生の選択を自ら決定できる社会」を力強く見据えておられます。2050年に1億人もの人生にポジティブな影響を与えるということを目標とされています。これほどの高い次元で経済的価値と社会的価値を両立しようとする壮大なビジョンを抱かれた原点についてお聞かせいただけますでしょうか。

吉村 根幹にあるのは、14歳でナポレオン・ヒル博士の書籍に出会ったあの、稲妻のような衝撃です。思い描いたものを現実にするノウハウが整理されていて、「魔法の本」だと思った鮮明な記憶があります。そこから刺激を受けたこともあり、社会全体に数十兆円規模の経済的インパクトを与え、1億人もの人々の人生に良い影響をもたらすようなビジョンを追い求めたいと考えるようになりました。

青木 14歳、まさに運命の出会いですね。社会貢献活動も幅広く取り組まれていますね。

吉村 はい、世界中の根本課題を解決していくことが本質と考えており、ミダスキャピタルの収益を財源として世界中から貧困の連鎖を断ち切ることをミッションにミダス財団を立ち上げました。財団の活動の一例として東南アジアでの学校建設等に力を入れていたり、国内での子ども教育への支援を進めています。先日、公益財団法人として認定を受けることができ、掲げたビジョンを着実に形にすべく日々取り組んでいるところです。

青木 素晴らしいですね、まさに世界のリーダーのお一人です。その原点にナポレオン・ヒル博士の考えがあることに納得しました。

吉村 青木社長の原点も『THINK AND GROW RICH』にあったと伺いました。

青木 はい、私も『THINK AND GROW RICH』に23歳で出会い、人生が変わりました。多くの偉人がこの一冊から自らの理想を明確にし、それを現実のものとしています。世界の多くの実業家や偉人の活躍の源となったまさに名著ですね。

吉村 この一冊には、単なる成功法則を超えた、人間がもつ可能性への揺るぎない信頼が満ち溢れていると思います。私自身、これまでの事業経験を通じて、改めて痛感しているのは、「ビジネスは人、チームメンバーがすべてだ」という、もはや哲学とも言える確信です。どんなに素晴らしいアイディアも、それを信じ、形にする「人」がいなければ、それはただの空想で終わってしまいます。明確な「思考」、そこから生まれる壮大なビジョンこそが、人の心を強く動かし、優秀な人材を磁石のように惹きつける最初の引力になると私は思います。

歴史に証明されたマスターマインドの力

吉村 私がナポレオン・ヒル博士の哲学で最も核となる概念だと考えているのは、「マスターマインドグループ」です。これは、複数人の心が完全な調和の精神をもって組み合わされることで生まれる、単なる個人の知識の総和ではない「集合知」、あるいは「第三の精神」と呼ばれる力です。

青木 まさに鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーがその力を最大限に活用したことが有名ですね。史上最高額の資産を持ち、アメリカの産業発展を牽引した中心人物ですが、優秀な人材を集め、その心の調和を築き、組織としての力を引き出したことで知られています。これは、いつの時代も、どのような事業においても成功に不可欠な普遍的な真理だと思います。

吉村 カーネギーが、あれだけの富を築けたのは、単に彼自身の頭脳だけではなく、彼が集めた「調和と協力の精神で一つにまとまり、共通の目標に向けて組織化され調整された集団の知恵」だと明言しています。彼ら一人ひとりは単独ではマスターマインドではありませんが、集まることで力が生まれたと。

青木 感動的な言葉です。私たちが提唱する理念経営の考え方にも、このマスターマインドの精神は深く通じています。社員一人ひとりが企業の目的やビジョンを深く理解し、その実現を目指す主体性を引き出すことで、組織の成長がつくり出されます。明確な理念とビジョンという組織の存在意義、すなわち目的があるからこそ、共感が生まれ、人が集まる。そして、目的がチーム全体に浸透したときに、真のマスターマインドが生まれるのだと思います。

吉村 おっしゃる通りです。私たちミダスグループは、先述したように事業を通じて社会にインパクトを与えるミダスキャピタルと、社会貢献活動を推進するミダス財団という、二つの柱から成り立っています。ミダスグループは、まさにこの現代版マスターマインドの実践だと考えております。ミダスグループは投資先企業群を含めると現在合計約2万名の従業員で成り立っているグループですが、その中核を約60名の非常に多様なバックグラウンドを持つ「ミダスメンバー」が担っています。彼らは文字通り、私たちの持つ知恵の源泉であり、彼らの力が調和し組み合わさることで、時に不可能と思えるような大きな目標も、現実のものとしていくのです。

青木 まさに現代のマスターマインドグループの象徴ですね。 しかし、このメンバーをいかに選び抜くのかというのが鍵になりそうですが、質の高いマスターマインドグループを築くことへのこだわりはどこから生まれたのでしょうか。

困難を越え、ともに歩む「正しい人」を選ぶ

吉村 それは私が学生時代に共同創業したエアトリでの経験からきています。幹部採用に苦労していた時期が長かったですが、年収もストックオプションも上限を取っ払って、直接の知人でベストの方々にジョインいただいたことが飛躍に繋がりました。彼ら自身がハイパフォーマーであることは勿論ですが、彼らが部門長に入った組織が一気に活性化していきました。それまでは「ビジネスは人」という言葉の意味が理解出来ていなかったですが、その経験を経て正に実感しました。だからこそ、採用においては単に能力の高い人を集めるのではなく、私たちの壮大なビジョンや価値観に心から共感し、ともに困難を乗り越え、ともに追求できる「正しい人」を選ぶことを最も重視しています。

青木 人財こそ最大の資産、全く同感です。そして優秀な人財が真に集うのは企業の「理念」であると私は思います。スキル以上に、「理念」に共感する志、人間性、そして困難でもともに歩む覚悟がある人を集められるかで会社の命運は決まります。この求心力がまさに「理念」なのです。吉村さんもまさに、世界に貢献するという大きな志や理念を持っているからこそ、優秀な仲間を集めることができたのだと言っても良いでしょう。

理論の実践とプロセスを楽しむ姿勢が未来を切り拓く

青木 ここまで吉村さんの取り組みを含めて様々伺ってきましたが、では実際にマスターマインドグループをつくるとなったときに、何からスタートすると良いのか、吉村さんの考えを教えてもらえますか。

吉村 まず、「圧倒的な、魂を揺さぶるビジョンを掲げる」ことだと思います。これが、志高き優秀な人材を惹きつける最初の原動力となります。次に、そのビジョンや価値観を共有できる「正しい人を選ぶ」こと。そして、メンバーが自律的に動き、互いの力が最大限に引き出されるような「自律と相乗効果を生むスキーム設計」。具体的には、メンバーがオーナーシップを持てるような仕組みや、適切なインセンティブ設計も非常に重要です。さらに、ビジョンをともに追求する仲間意識を深めるための「深い交流によるコミュニティ醸成」、定期的な集まりや率直な対話の機会を設けることの価値。そして最後に、これらの「理論の実践とプロセスを楽しむ」という姿勢です。

青木 ありがとうございます。これらはまさに、私たちが『頂点への道』講座で長年お伝えしてきた、目標達成とリーダーシップ開発のための原理原則です。

吉村 はい、青木社長のメッセージは私もとても共感するところがあり、きっと多くの経営者の方にとって価値ある学びがあるのだと思います。

青木 特に「理論の実践とプロセスを楽しむ」という点は、学びを行動に移し、困難な状況でも継続するための強力な推進力となりますね。

吉村 日々の業務のなかで、ナポレオン・ヒル博士の哲学、特にマスターマインドの力を意識的に活かす姿勢が、相互に楽しめる環境づくりにつながり、チームをさらなる高みへと、そして最終的な成功へと導く鍵となると私は考えます。

青木 困難な時代だからこそ、明確な「思考」を抱き、「自分ならできる」と信じ、最高の仲間とともに、ナポレオン・ヒル博士の哲学を実践しながら、自らの、そして組織の、そして社会の目標を現実化していく。これが何より大切ですね。

吉村 おっしゃる通りです。私もまだまだ道半ばですので、これからも皆様とともに成長し、理想の実現を目指していきたいと思います。

青木 今日は本当にありがとうございました。

 

Hideki Yoshimura

株式会社ミダスキャピタル 代表パートナー
公益財団法人 ミダス財団 代表理事
東京大学経済学部卒業。2003年大学在学中に株式会社Valcomを創業。2007年株式会社エアトリを共同創業し代表取締役社長に就任(現在は退任)。 2016年株式会社エアトリを東証マザーズに、2017年東証1部に上場。エアトリグループ会社の株式会社まぐまぐ、株式会社ハイブリッドテクノロジーズ、株式会社インバウンドプラットフォームをそれぞれジャスダック、マザーズ、グロースマーケットに上場。
2017年株式会社ミダスキャピタルを創業。同年ミダスキャピタル第1号案件として株式会社BuySell Technologiesを買収。後に取締役会長に就任し、2019年東証マザーズ上場。2022年ミダス企業群の株式会社AViCが東証グロース上場。2023年ミダス企業群の株式会社GENDAが東証グロース上場。