選択理論こそ企業を繁栄させるマスターキーである

選択理論との出会い、ビジネスに活かす決意

選択理論との出会いから35年が経ちましたが、出会った日の驚きはいまでも鮮明に覚えています。「私が追い求めていたものはこれだ」そう確信を覚えたのです。目標達成をし続けてきた人生でしたので、自分が結果を出すことは得意でしたが、どうしたら他人を目標達成に導けるのかに苦悩していました。人生の指南書の一冊である『成功哲学』では、成功の原点は燃えるような願望であると書かれています。しかし、その願望を他人に持たせることは至難の技でした。そんなときに選択理論の内発的動機づけの考え方に感銘を受け、その実践的な内容をビジネスに応用できると確信を覚えたのです。この考え方を活用すれば、罰や報酬を使ったマネジメントではなく、自ら行動したくなるマネジメントができると。そして、誰しもが自分の行動をセルフコントロールし、結果を出すための再現性の高いメソッドができると思いました。前例はありませんでしたが、選択理論を広めることが必ずこの社会をよくすると確信して立ち上げたのがアチーブメント社でした。

内発的動機づけで会社と社員が活気づく

故グラッサー博士
と交わした約束を守り続けている

創業前からマネジャーとして数多くのトップセールスを育てた経験がありました。しかしその反面、なかなか結果が出ずにリタイアしていったメンバーも少なくはありませんでした。選択理論を学ぶ前は、なぜ目標達成にこだわらないのか、なぜ決めたことをやりきらないのかと、裁く気持ちが強かったです。しかし選択理論を学んでからは、本人の願望が明確になる支援を私がしていなかったと理解しました。上司にとっての正しさは、必ずしも部下にとって正しい訳では無い。人の分だけ願望があり、正しさを持っている。だからこそ重要なのは、相手の願望が明確になる質問をし、その願望成就を支援するアプローチであると、選択理論が教えてくれたのです。主体性が発揮され、社員がイキイキと働き、高い成果を出し続ける会社には、例外なく内発的動機づけがあります。実践すればするほど確信がより深まっていきました。そして、「これを日本社会に普及し、多くの人の役に立つ。必ずそんな会社を実現する」と、故ウイリアム・グラッサー博士と約束をし、アチーブメント社は35年以上の歴史を紡いできています。

欲求が満たされる会社は発展し続ける

選択理論が定義する幸せとは、5つの基本的欲求が満たされている状態です。これは、例外なく全ての人間が求めていることです。人が集まり魅了される会社というのは、まさに5つの基本的欲求が満たされる環境であると私は考えています。対社員・対顧客・対社会において、5つの基本的欲求が満たされる環境を整え、そしてさらなる上質を追求し続けていくこと、これこそが企業が永劫発展し続ける原理原則なのです。簡単なことではありませんが、いつどんなときも5つの基本的欲求が満たされる環境をつくること、願望すなわち上質世界にアプローチをし、求める心を育む仕組みづくりを大切にしてきました。それは社員を甘やかす訳ではなく、自分で行動を選んで責任を取ってもらうという、むしろ厳しい考え方とも言えます。
例えばですが、アチーブメントでは昇進昇格や給与・待遇に関わる業績目標は、全社員が自分で設定します。設定する観点は、理想像を手にするための成長が得られるかどうかです。設定する際に上司が支援し、理想像を明確化します。そこから逆算したキャリアプランを描き、成長テーマを決めるのです。目標達成は会社のためのみならず、自己実現につながると全員が理解しているからこそ、主体的に取り組んでくれています。最終的には年齢に関係なく、実力に応じて待遇や報酬が決まります。だからこそ、営業部門であっても「ノルマ」という概念がありません。そのような刺激を与えなくても職務を全うしてくれるのです。マネジメントにおいても、外的コントロールを使う人は、どれだけ成果を出していても昇進昇格をさせることはありません。選択理論に生きている人だけが組織を持てる仕組みにしています。そうした取り組みが功を奏し、おかげさまで増収増益し続け、経常利益率20%以上を維持・新卒社員の初任給は30万円・『働きがいのある会社』ランキング7年連続ベストカンパニーを達成しました。これは私一人ではなく組織の力です。選択理論の概念を忠実に実行し、社員・顧客・社会を大切にした結果、達成できたのです。

周囲を幸せに導く経営で世界を豊かにする

自社の実績を踏まえて、ビジネス・経営での選択理論の活用を伝え続けてきました。「利益は目的ではなく結果である。縁ある人を幸せにすることこそが、経営のゴールである」。そんなわたしの主張が、かつては周囲の経営者に馬鹿にされ、相手にされませんでした。しかし、そう言っていた経営者の会社は今はもう存在せず、アチーブメントと選択理論を信じて学び続けてくださっている受講生の皆様は発展し続けています。選択理論は企業の長期的繁栄のマスターキーなのです。社会を豊かにするために、これからも伝え続けていきます。

企業が選択理論を土台にした
「縁ある人を幸せに導く経営」を貫く限り、
必ずや未来永劫繁栄し続ける。

アチーブメント株式会社 代表取締役会長 兼 社長
アチーブメントグループ CEO
青木 仁志

北海道函館市生まれ。若くしてプロセールスの世界で腕を磨き、数々の賞を受賞。1987年のアチーブメント株式会社設立以来、45万名以上の人材育成と、5,000名を超える経営者教育に従事し、理念経営を志す経営者を数多く輩出。講師を務める『頂点への道』講座スタンダードコースは、28年間で700回毎月連続開催を達成したロングラン公開講座であり、新規受講生は3万6,574名にのぼる。35万部を超える『一生折れない自信のつくり方』シリーズを始め、累計64冊の著書を執筆。

▼ 次の記事 ▼