自主自立した子どもたちが育つ豊かな学校を

何より重視するのは安心安全な空間かどうか

全世界がコロナ禍に見舞われた2020年。コロンビアもその例外ではありませんでした。選択理論を元にした学校教育で、不登校の生徒がおらず、いじめが発生しても生徒たちが話し合って解決し、国内トップレベルの大学進学実績を誇る学校を経営をしています。その教育の形もコロナ禍で大きく変わりました。しかし、生徒・教員・保護者・地域社会等の協力があり、元通りに近い教育を実現できています。非常に苦しい戦いが強いられましたが、指針として大切にしてきたことこそが、5つの基本的欲求が満たされる環境です。もちろん感染対策を施すのには大きな投資も必要でしたが、判断するための指針は、利益や利便性ではなく、いつでも選択理論です。生徒にとっても先生にとっても不安のない環境を創り、改善を繰り返しました。授業を受ける形式は強制をせず、オンラインも設けましたが、結果的に2021年の8月には、生徒たちが自らが選択をし、全生徒の登校が実現しました。

コントロールできる領域を拡張し続ける教育

仕組みはもちろんですが考え方の教育も本当に大切でした。自分がコントロールできることに焦点を当てる大切さを学ぶためのワークを定期的に取り組んでいます。円を書いてコントロールできることを円の中にいれ、できないことを外に出すというシンプルなものですが、成長をしていくごとに円がだんだん大きくなっていきます。最初は「食べ物」「挨拶」「休み時間にやること」といった内容ですが、だんだん「自分の徳」「将来の夢」「助けを求めること」などが増えていくのです。こうした取り組みを通して、自分で選ぶことの重要性を学び、生徒たちが自立していくのです。これからも固定観念にとらわれず生徒たちの可能性を引き伸ばす教育を実践してまいります。

ロチェスター校(コロンビア)元校長
ファン・パブロ・アルホゥーレ

コロンビア・クンダマルカ州チアにある国際的に認知されたグラッサークオリティ・スクールの第1校、コレヒオ・ロチェスターの校長を務める。教育学(教育行政)と理学の修士号を持ち、システム思考の専門家としてグラッサーのコミュニティで国際的に認められている。同校はラテンアメリカの学校デザイン賞を受賞し、ロチェスター校がリーズ校として認められ、コロンビアで初めてCOVID-19パンデミック時に教室に戻った学校として、成功モデルを提供する教育機関となる。組織運営の「システム」の変革をもたらす重要な要素として、選択理論心理学を応用しながら学校運営に従事している。