文化は戦略を朝食にする

ドラッカー博士に詳しい方であれば、一度は聞いたことがある言葉かもしれません。一見すると意味がわかりにくいように思うかもしれませんが、その真意はシンプルで、「企業文化には戦略を超える力がある」「どんなに崇高な戦略も、文化の前では役に立たない」と言い換えられるのです。
一般的に企業経営を考えるときに、「戦略」が注目されがちですが、文化はその上位概念にあるとドラッカー博士はおっしゃいます。なぜなら、その戦略を実行するのは「人」だからです。人は、明文化された規則よりも、組織の雰囲気(社風)に従うものです。つまり企業が大切にすることにこだわり、実行する文化が醸成されていることこそが何よりの戦略であると言えるのです。

P.F.ドラッカー
「マネジメントの父」とも呼ばれる、経営学の第一人者であり、社会思想家。「民営化」「知識労働者」「目標による管理」を初めとして、現代のマネジメント思想において、数多くの概念や用語を創り出している。ホワイトハウス、IBM、インテル、救世軍、赤十字、など多種多彩な組織の数多くのリーダーに直接影響を与えた。2002年、市民に与えられる最高の栄誉、自由勲章を受賞。2005年11月に他界。

ドラッカー博士が教える文化づくりの3つのポイント

 

1.ビジョンや価値観が明確化されている
企業の存在理由と向かう先、そして何を大切にしているのかが明確に提示されているか?
2.風通しが良く、情報共有が密にされている
社員が恐れや不信を抱くことなく、オープンで透明なコミュニケーションがなされているか?
3.成長と責任を実感できる仕組みがある
業務に携わる社員一人ひとりが、成長と責任を実感できているか?

文化を重要視し、発展した企業

トヨタ自動車

従業員の意見を尊重し、自己成長を奨励する独自のカルチャーを築くと同時に、顧客のニーズに応える信頼性のある製品を提供している。特にトヨタ生産方式(TPS)などが有名。

IBM

明確なビジョンと価値観を持ち、従業員に対して創造性と革新を奨励する文化を築き上げた。元CEOであるルイス・ガースナーは、従業員の成長と責任に注力し、組織全体を向上させるためのリーダーシップを示した。

マンチェスター・ユナイテッド

世界的に有名なサッカークラブであり、ドラッカー博士が重視する文化を取り入れている。長期的なビジョンと個々の選手やスタッフの成長に重点を置き、サッカーの勝利だけでなく組織全体の繁栄にも注力している。

広島東洋カープ

チーム全体でのコミュニケーションと協力を奨励し、個々の強みを最大限に引き出す文化を醸成。また、変化に適応する柔軟性も育み、組織全体が目標に向かって効果的に動き、成功を収める一翼を担いました。

ご紹介してきたように文化づくりこそが、組織の発展を支える最重要の要素と言えるでしょう。では、中小企業経営においていかにして「文化」を育むとよいのか。「クオリティカンパニー」を目指し、大きな変革を遂げてきた3社の事例とアチーブメント代表青木のメッセージからその本質を紐解いて行きましょう。
※クオリティカンパニー:人軸経営を実践し、働く人を中心に縁ある人の幸せを目指す高収益企業