[Case3]予約半年待ち! 「天ぷら」の名店! 顧客単価10万円超えでもファンが増え続ける経営

株式会社くすのき
設立 2003年
売上 1.8億円
従業員数 14名
本社所在地 〒160-0004
東京都新宿区四谷1-9-4
事業内容 日本料理(天ぷら)

株式会社くすのき 専務取締役

楠 弥生

同店の店主・親方の楠忠師氏とともに超一流を探求し続ける。「女将」という立場から、お客様と料理人の架け橋として満足を超える感動体験づくりを徹底しており、名店としてのブランドを守り続けている。

2003年に名古屋で創業し、2018年には東京・四ツ谷に移転。「超一流」の基準を求めて、自ら定めたフィロソフィーを徹底し続けている。顧客単価10万円を超えることもあるなか、予約を承っている半年先まで満席。通いたくても通えない名店として名を馳せている。

1 | 徹底的に付加価値を高めること

20年、天ぷらを武器にお店を経営してきました。飲食ですので、もちろん料理の質にはとてもこだわっています。心の底から確信を持てるものかを幾度も自問自答し、そうだと思えるものだけを提供しています。しかし、本当の意味でご満足をいただくために必要なことは、そこに加えて「プラス20%の努力」をし続けることにあると私たちは考えています。当店は、その日の旬な素材に合わせて料理を提供しているので、「献立」というものがありません。ですので、ご来店いただいたあとに、感謝とともに希望される方にはお送りするようにしています。こうした本当に細かいことなのですが、「どうしたらお喜びいただけるか」を常に追求し、できることはすべて実践してきました。ここに関しては感性の世界でもあり、マニュアルというものは存在していません。お客様の表情や雰囲気を見て、その場で決めています。そして、店主やスタッフと徹底的にディスカッションをして、常により良いアイデアを出し続け、実行し続けているのです。

2 | 当店の価値を理解してくださる方に絞った店作り

実は10周年を迎えたときに1か月間休業をしたことがありました。おかげさまで、リピート予約だけで先々のお席が埋まっていたのですが、嬉しさの反面、新しいお客様との出会いがなくなっていると危機感を覚えたのです。お店を閉め、方針を話し合ったうえで、再開するときには当店の価値観を理解してくだる方に限定しご案内をしました。そして完全紹介制を取り入れ、質を求められる方だけを対象としたお店にすると決めたのです。その分、視座の高いお客様に学び、ご指導いただきながら、期待を超えるサービスの提供に注力し続けてきました。

3 | 社員が「幸せ」だから、サービスの質が上がる

逆風に向けてチャレンジし続けてきた20年間でしたが、それは社員の協力無しには成し得るものではありませんでした。どんな頑張りも無理があっては続きません。特に品質を求めるとなれば、「心」が無いと決してうまくはいかないと思います。その「心」を育むために大切にし続けてきたのが、社員にとって満足できる環境であることです。飲食業界では異例の週休2日を長らく実施しており、年間休日も113日まで増えました。結果、総合的なサービスの質が上がっていったのです。どこまでいっても「社員とともに・お客様とともに」を大切に、これからも努力してまいります。