「会社と社員を繋ぐ」仕組みの構築
営者のデザインから一貫した制度設計を行うにあたり、人事担当者として留意すべき点とは何か。また具体的には何を考え、取り組んでいくとよいのか。アチーブメントの取り組み事例を、人事責任者をになってきた髙橋が心構え・押さえるべきポイント・全体像の3つの観点から解説いたします。
担当者としての心構え
試行錯誤なくして形にはならない
2007年の入社以来、人事部門の担当者として、経営陣の理想や設計を形にすることをミッションに取り組み続けてきました。特に人事制度においては、代表である青木が考える経営や組織を実現するために試行錯誤を重ねてここまでやってきました。振り返って感じることとしては、時間も労力もかかるということです。簡単に出来上がるものでもなければ、一度作ればそれで終わりというものでもありません。一度形にしたとしても、社会の変化や組織のステージに合わせて、幾度も刷新をしていく必要があります。力を入れていたが、実際には運用にまで至らなかったことももちろんあります。そうした試行錯誤の連続があって、ようやく形になっていくものです。ご受講生の企業様の制度設計をサポートさせていただくこともありますが、制度の設計から運用までを考えると、少なくとも年単位のプロジェクトになっていくことが多いです。設計の担当者として抜擢をされた方であれば、まずはそのような大掛かりで、息の長い仕事になることを正しく認識することが重要であると思います。
経営者が持つ理想の具現化を目指す
次に人事制度が果たすべき役割を正しく認識することが大切です。人事制度の本質は、育成にあります。人が育つための仕組みを整えるということです。組織がどこに向かっていくのか、何を大切にするのか、理想の人材像とは何か。この辺りを経営陣と徹底的にディスカッションをして、明確に定義することから始まります。経営陣が持つ「社員を幸せにしたい」という気持ちを具現化するためにも、対象となる社員像を明確にし、その社員の立場に立ったときに、「この会社でもっと成長したい」と思ってもらえる状態とは何かを整理していきます。自社の価値観や理想の社員像から逆算をしたときに、評価をすべきことが変わってきます。「長く働くこと」なのか、「新しいアイデアを取り入れられること」なのか、「売り上げを上げ続けられること」なのか、「育成に長けていること」なのか、さまざまな評価軸がありますが、どれを採用すべきかは、組織の理想をどこに置くのかで全く変わってきます。世の中の常識や一般論は、設計をする参考として学ぶことはとても大切ですが、自社が目指す理想からの逆算であることを忘れてしまうと、うまく機能しなくなってしまいます。ぜひこの点を忘れずに取り組んでいきましょう。
制度設計において押さえるべきポイント
(アチーブメントの例)
1. この企業で期待されていることとは何かを明示すること
人事制度とは、会社と社員を繋ぐ存在です。それには、今の仕事で何が求められていて、何が責任範囲なのか、さらにいうと次のステージに上がっていくために何が求められているのかを明示する必要があります。企業から社員に向けた期待のメッセージが人事制度そのものなのです。そうした社員への期待から評価基準を作ってきました。
2. 期待に応えられる社員を育成していくこと
会社から期待されていることを果たしていける仕組みであることです。つまり、人事制度そのものが、トレーニングシステムになっているかどうかということであり、成果よりもその源泉となる「成長」に焦点を当てていきます。例えばプロセス目標と結果目標それぞれに分けて、プロセスを重視した制度設計をするというのも一つのアイデアです。期待することによって、打つべき施策も変わってきますが、社員が成長できる仕組みを作り、育成につなげていくことが、2つ目のポイントです。
3. 実力主義に則った制度を組み立てること
アチーブメントでは、優秀な人材が集まり、残り続ける組織を目指してきました。そうした人がとことん貢献の幅を広げることで、満足いく報酬や評価を得られる組織です。そのために大切にしてきたのが「実力主義」ということです。年功序列ではありません。また、徳(人格)と才(能力)でいうと、才に焦点が当たった成果主義とも違い、双方を評価する考え方です。実力主義のもとでは、年齢や学歴、性別、国籍などといった要素は評価には関係ありません。あくまで本人のパフォーマンスを評価していきます。実際にどれくらい顧客、組織、社会に貢献をしたのかという点から、公平公正に社員を評価していく制度であるというのが、3つ目のポイントです。