【WBC優勝記念インタビュー】14年ぶりの頂点へ導いた指導力の原点とは 侍ジャパンヘッドコーチ・白井一幸さん その1

3月22日(水)、日本中が熱い歓声に包まれました。WBC第5回大会決勝で「侍ジャパン」がアメリカとの死闘を見事に制し、14年ぶりの優勝を決めました。大谷翔平選手やダルビッシュ有選手などのメジャーリーガーを携え、史上最強と言われましたが、文字通りその実力を世界に示しました。この最強チームを導いたのが、ヘッドコーチの白井一幸さんです。白井さんは2011年にアチーブメント社の『頂点への道』講座を受講し、選択理論とアチーブメントテクノロジーに触れ、良好な人間関係と高い競技成果の両立を目指してきました。今回、WBC優勝を記念し、アチーブメント代表の青木仁志との対談が実現。選択理論に基づくマネジメントが今回の大会でどのように役立ったのか、選手とどのように関わったのか、その舞台裏に迫りました。

目の前のできごとではなく、目的に焦点を当て行動する


青木 WBC第5回大会での優勝、おめでとうございます。白井さんは、良好な人間関係とハイパフォーマンスを目指して活動されてきました。今回、世界一という結果となり、白井さんが大切にしてきたことを理論的に裏付けることに繋がりました。
白井 ありがとうございます。14年ぶりの世界一を勝ち取ることができましたが、多くの方に支えられての優勝だったと思います。
青木 決勝戦は私も観戦しましたが、多くの人に勇気と感動を与える素晴らしい試合でした。大会を通じて感じたのは、ベンチにいる選手も声を出し、チーム一丸となり戦っている姿が印象的だったということです。
白井 そう感じていただいたのは、我々は相手チームを見ていなかったということがあるかと思います。我々が見ていたのは世界一という頂だけでした。相手がどこの国であれ、我々は一つのチームであり、一人ひとりができることは何かという部分に焦点をあてて行動できていました。同じ目的に向かうチームとなったから、一人ひとりがお互いをリスペクトし、チームのなかに一体感が生まれました。選手だけでなく、監督やコーチもその目的に向かう点ではブレませんでした。

青木 ブレないという点でいうと、村上選手が最初は不調だったにも関わらず、栗山監督はスタメンで使い続けました。監督やコーチのなかでスタメンから外そうという話は出なかったのですか。
白井 一切出ませんでした。もちろん、なかなか結果が出ず、本人が試行錯誤している姿は見ていました。ただこの先、彼がさらに成長するためには、この侍ジャパンの重圧のなかで不調を乗り越えることが彼の成長に必ず繋がるんだ、という関わり方を監督コーチ全員がしていました。私も村上選手には、今の状況を大いに悩み苦しんでいこう、決して逃げるものではなく、これが将来の成長に必ず繋がるんだ、と支援していきました。選手が不調のときこそ、関係性を深めることができますし、村上選手を支援し続けることが、この大会で大きなポイントとなることを指導者たちが共有していました。
青木 その言葉を聞き、胸が熱くなりました。実際に村上選手は準決勝でサヨナラタイムリーを決め、この大会の大きなポイントとなりました。目の前の状況に流されることなく、同じ目的のために、選手を信頼して支援し続けることが指導者には必要なのですね。本当に理想的な選手とコーチの関係性だと感じました。

【今回のポイント】
・我々は相手を見ずに世界一という頂を見ていた
・同じ目的に向かうチームだからこそ、お互いをリスペクトし合える
・指導者に必要なのは、選手を信頼し支援し続ける姿勢

▼白井一幸氏と青木仁志の特別対談講演はこちら

白井 一幸(しらい かずゆき)
元北海道日本ハムファイターズ 内野守備走塁コーチ兼作戦担当
一般財団法人日本プロスピーカー協会顧問 認定ベーシックプロスピーカー
駒澤大学を卒業後、1983年ドラフト1位で日本ハム入団。1987年ベストナイン、ゴールデングラブ賞受賞、1991年リーグ打率3位、最高出塁率を記録。現役引退後、日本ハムの二軍総合コーチ、二軍監督を経て、2003年から一軍ヘッドコーチを務め、リーグ優勝2回、日本一1回を獲得。指導者として「可能性を開く鍵は意識の持ち方と行動力」をモットーに選手の育成に従事している。

 

青木 仁志(あおき さとし)
アチーブメント株式会社 代表取締役会長 兼 社長
アチーブメントグループ CEO
北海道函館市生まれ。若くしてプロセールスの世界で腕を磨き、数々の賞を受賞。1987年のアチーブメント株式会社設立以来、46万名以上の人財育成と、5,000名を超える経営者教育に従事している。講師を務める『頂点への道』講座スタンダードコースは、28年間で毎月連続700回開催達成。40万部を超える『一生折れない自信のつくり方』シリーズを始め、累計65冊の著書を執筆。

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