運命的な出逢いから全てが始まった
WGI国際大会2022 Tokyoが開催され、少しの時間が経ちました。改めてこの会に協力してくださった多くの皆様、そしてご来場くださった多くの皆様に心からの感謝をお伝えしたいと思います。日本の地でこの大会が開催されるのは私の念願でした。そして、規模でも内容でも過去にない充実した大会になったことを心から嬉しく思います。
思い返せば、私が選択理論の原型であるリアリティセラピーに出会ったのは、1985年でした。心理学や栄養学を学び、さまざまな形でセラピーを研究・実践していた当時の私に突然一本の電話がかかってきました。それは、米国従軍牧師として日本の横田基地に赴任されていたロン・カールトン大佐からでした。米国軍人へのカウンセリングなどをされておられましたが、当時は米国軍人が日本女性と結婚する例も増えてきており、英語だけではなく日本語でも選択理論を伝えたい、広めていきたいという願いを持たれていました。そして、米国での留学経験を持っており、心理学やセラピーを専門とする私にお声がかかったのです。当時はとても驚いたことを覚えています。私が日本でのカウンセリングの広がりについて話し終えると最初の質問が「あなたはリアリティセラピーを知っていますか」でした。
確信を覚えたその効果性
そこからはのめり込むようにして学んでいきました。ロン・カールトン先生自身の経験もあり、私は選択理論そのものの価値に徐々に気づき始めていったのです。さまざまな心理学やカウンセリング手法を学んできましたが、その多くは過去や現在のつらさに焦点を合わせていました。対して選択理論のアプローチは全く別で、人の行動のメカニズムを解き明かしているということが最も驚きのポイントでした。このメカニズムは、人であれば人種や経験などに関係なく普遍です。誰もが同じだからこそ活用がしやすいということに、とても感動しました。人が変わっていくことに対して、自ら変化しようと決意し行動していくことに対して、ここまで効果的な心理学はないと強く確信したのです。加えて、グラッサー博士の整理された理論はとてもシンプルでした。これならばわかりやすくてどんな人でも学びやすい、そして自身の生活に落とし込んで活用がしやすいと思い、この心理学を日本に広めていくと決意したのです。
全員が力を合わせ作り上げてきた発展の歴史
そして、翌年の1986年には、日本で初のリアリティセラピー集中基礎講座をロン・カールトン先生を講師として開催し、私は通訳と受講生を兼ねる形で参加をさせていただきました。年に1度のペースで開催し、少しずつではあるものの、選択理論を日本に伝えていこうと決意してのスタートです。そして、転機が訪れたのは翌年の1987年のことでした。青木仁志さんが2回目の講座を受講してくださったのです。 そして青木さんから「選択理論をベースにした会社を立ち上げたい」と聞きました。もちろん応援しようと思いましたが、まったくイメージがつかず、どうなるのかとも思っていました。それが、35年の時を経てこのように素晴らしい展開をされていて、心から誇りに感じています。あくまでもセラピーが中心で、カウンセリング領域や学校教育での応用が中心だった選択理論をビジネスの世界でこうして結果を作り、数多くの受講生や会員の皆様の活躍があるということがまさにその証明であると思います。選択理論の権威である多くの先生方もおっしゃるように、ビジネス領域でここまでの発展を作られていることは世界でも例を見ません。日本の取り組み、アチーブメントに関連する皆様の取り組みがまさに世界のモデルなのです。
日本文化の魅力と選択理論の未来
私は日本という国の文化についても様々勉強をしてきましたが、相手を思い慈しむという文化は本当に尊いものであると思います。それは、「武士道」といった言葉でも表現されますが、そんな日本だからこそ、相手の立場に立ち尊重するスタンスを取る選択理論の考え方が浸透し易いのではないかとも思います。選択理論を学べば、この国は必ずより発展し、豊かになっていく。35年以上の活動を通して、その確信を深めてきたと同時に、今後さらに明るい未来があることを信じています。皆様の取り組み、積極的な活動に心から感謝をしております。今後もどうぞよろしくお願いいたします。
人が決意し、自ら変化することに対して、
選択理論以上に効果的な心理学は
存在しないだろう。
NPO日本リアリティセラピー協会 理事長
柿谷 正期
1978年に柿谷カウンセリング・センターを開設。1984年3月にはグループホーム大磯ハウスを設立。リアリティセラピーに関しては米国ウイリアム・グラッサー協会が認定した日本人初のインストラクターであり、日本初の「リアリティセラピー」認定講座を主催するなど先駆的な働きをし、現在も第一人者として活躍している。