[事例]2 ありのままを 受け入れる 「ねばならない」を手放し、描けるようになった本当の願望

人の評価を気にしたり、「ねばならない」という価値観にとらわれている人が多いといわれる現代社会。そうした生き方に窮屈さを感じている方も数多くいらっしゃることでしょう。実はこの「ねばならない」という価値観が願望を描く上での大きな障害であり、これを払拭したときに本当の願望が見えてくる。そう語るのは、奈良県の美容会社で常務取締役を務める富岡さん。では、一体どうしたら払拭できるのか、自身の体験に裏付けられたその変化の過程を伺いました。

「ねばならない」の価値観に囚われていた過去

セルフカウンセリングをして自分の願望を捻り出してみるけどしっくりこない。そういう方は多くいると思います。私もまさにそうでした。はじめてセルフカウンセリングをして出てきたのは、不登校だった息子に求めるものばかりでした。学校へ行って欲しい、友達と仲良くなって欲しい、勉強して欲しい。私がどうなりたいか全くわかりませんでした。願望を書き出してみるも納得がいかず、また考えるの堂々巡り。セルフカウンセリングの1番目のステップから2番目のステップになかなか行けず、毎回もどかしい気持ちを抱えていました。
私は保守的な家庭・地域で育ち、「周りの期待に応えなければいけない」「人から評価されるためにこうあるべきだ」という価値観を常に持ち合わせてきました。社会人になってからは仕事にも一生懸命取り組んで、それなりの結果を出してきました。しかし、こんなもんじゃないと常に自分に鞭を打って、どれだけ頑張っても不安な毎日でした。特に前職では、1000名の従業員がいる会社で部長職をしていましたが、「ビジネスパーソンとはこうあるべきだ」と価値観をスタッフに押し付けるあまり、精神的に追い込んでしまいました。いまの会社に移ってからも、同様の考えゆえに、離職が絶えず、トップとも度々ぶつかっていたのです。

ありのままの自分を受け入れることの
大切さに気づく

願望が明確にならない当初、実践していたことは、一緒に学んでいる人たちのなかに身を置くこと。初受講のあと、すぐFacebookの習慣チェックリストシェア隊のグループに入りました。そこには、毎日何かしらに挑戦している人たちや、シェアし合う仲間たちがいて、私にとって大きな支えになりました。
JPSA奈良支部では、周りの仲間たちからたくさんの気づきを得ました。支部会の集まりでは、何度も「何の制限もないとしたら何がしたい?」と聞かれました。最初は「制限」という言葉の意味すらわかりませんでした。でも、学び続けていくなかで、幼少期から強く持っていた「ねばならない」という価値観が私の足枷となり、行動を制限していることに気づいたのです。
同じように、息子との関わりで、自分のなかの「ねばならない」という価値観と向き合いました。それまで私は、息子に理想像を押し付けてばかりでしたが、逆の立場を想像したとき、全部押し付けられたら嫌だと思い、一つに絞ろうと考えました。息子と向き合うなかで何が一番大事なのか自問自答しました。あるとき、部屋に引きこもり、ベッドの下に潜って泣いている息子の姿を目にし、「息子を失ってしまったら……」と言いようもない恐怖に襲われました。ただただ、生きていて欲しい、あなたはそのままで価値がある。誰もがありのままの自分で素晴らしい。心からそう思いました。そして、自分が握りしめていた「ねばならない」という価値観がどれだけ人を縛り、消極的にさせるのか痛感したのです。
このように、一つひとつ気づきを積み重ねていくことで、「ねばならない」という価値観を手放し、ありのままの自分を受け入れることができるようになっていきました。

等身大の自分を受け入れ明確になった願望

明確になった願望に向けて
講師活動にも力を入れている

ありのままの自分を受け入れ、私自身の可能性を信じられるようになり、「人の目や期待を過度に気にしなくていい、そのままでも素晴らしい。だからこそ何でもできる。本当はどうなりたいの?」そう自分に問いかけることができるようになっていきました。組織に勤める一人ひとりが選択の自由を持つことに貢献したい。そのために私ができることとして、良質な情報と出会い、経済力・時間・スキルを持つきっかけを作っていきたい。その先にある、「働くって楽しい!」と思える人で溢れる世の中をつくる。このことに私の人生を費やしていくんだと、心から納得のできる願望を持てるようになりました。
燃えるような願望がはじめから見つからないこともあると思います。私もそうでしたが、青木社長の「願望を繰り返し繰り返しアファメーションすることによって、燃えるような願望に昇華する」という言葉を聞き、「それでいいんだ」と楽になった経験があります。これからも、等身大の自分を受け入れ、一つひとつ楽しみながら、目標達成の一年にしてまいります。

 

人が持つ本当の力は義務感や
責任感だけでは引き出されない
「ありのままで素晴らしい。
だからこそ何でもできる」
心からそう思えたときに
燃えるような願望が見えてくる

 

富岡 直子
株式会社オリーブ 常務取締役
一般財団法人日本プロスピーカー協会
認定ベーシックプロスピーカー
奈良県出身。まつげエクステ・エステのサロン、直営7店舗の運営、フランチャイズ本部として活動する株式会社オリーブで、採用教育、経理財務、サロンの店舗運営、マネジメント、組織づくりに携わる。当時の離職率が15%だったところから、受講を通じて、マネジメントスタイルを改革。結果、人間関係が原因での離職率0%になり、産休後の職場復帰率も劇的に向上。2022年度は過去最高業績・最高利益(経常利益12%)を達成し、創業15年で初めて決算賞与の支給に貢献。自分自身の体験をもとに、組織人と不登校児の親御様向けに、アチーブメントテクノロジーと選択理論心理学を普及している。