Step.1-2 外的コントロールを手放す 成功も失敗も経験したから伝えられる 選手の力を最大に引き出す指導法

2008年5月、2009年9月に野手部門で月間MVP受賞
2008年、セ・パ通じての最高得票数を獲得してオールスター出場
2008年、北京五輪野球日本代表に外野手として招集される

Step1-1では、外的コントロールを使った指導を手放すことをどのように決意されたのかを学びました。しかし、外的コントロールしか知らなかった指導者が、それを手放すことは容易ではないと思います。次のステップでは、元プロ野球選手のG.G.佐藤さんが登場。プロ野球選手として成功も失敗も経験してきたからこそ確信した、理想の指導法を語っていただきました。

選択理論で紐解けた成功と失敗の裏側

25歳でプロ野球選手となり、2008年にはセ・パ通じての最高得票数を獲得してオールスターに出場。一方で、北京五輪ではチームの負けに絡む3つのエラーを記録。エラーの「E」をもじって「E.E.佐藤」と揶揄されました。成功も失敗も経験してきたからこそ気づいたのは、選手の活躍は選手の努力だけではなく、指導者の関わりも大きく影響すること。そして、チームのなかに心理的安全性を作り出すこと、選手一人ひとりの願望を明確にする支援をすることが大事だということです。
気づいたきっかけは、アチーブメントでの学びでした。人を外側からの刺激でコントロールしようとする外的コントロールと、人は内側から動機付けられた行動を選択するという選択理論の概念を学び、自分の成功と失敗の理由が紐解けたのです。

心理的安全性なくして偉大な成果はない

北京五輪を振り返ると、「金メダル以外はいらない」という言葉や、相談や意見できないチームの雰囲気にプレッシャーを感じ、私は恐れを抱いたのだと思います。多くの指導者は、チームを本気で勝たせようと目標を掲げ、選手に期待や愛情を持って接していることでしょう。しかし、チームのなかに心理的安全性がないと、掲げた目標や、期待、愛情もプレッシャーとして受け取ってしまうのです。五輪でのエラーは自分のミスではありますが、心理的安全性なくして本来の力を発揮するのは難しいと痛感する体験でした。
外的コントロールを使った指導も心理的安全性を作り出せないという意味では同じです。指導者はチームや選手のために目標を立て、期待や愛情を持ち指導していることでしょう。しかし、指導者の想いはプレッシャーに変換されがちです。結果、選手は恐れを抱き、本来の力を発揮できなくなるのです。

力を最大に引き出す選択理論的な指導

▲自ら現場に立ち、
選手の力を引き出す指導を試みている

一方で、大きな成長に繋がった指導が父親とアメリカでの指導法でした。父親は私が幼いころから、理想を押し付けずに、お前はどんな風になりたいのかと、私の願望を明確にする支援をしてくれました。また、アメリカで所属したチームの打撃コーチは普段はじっと練習風景を眺めているだけですが、私が意見を求めに行くと、私を分析した膨大な量の資料を出してヒントを与えてくれました。コーチは選手から求めない限り、どれだけ指導しても効果がないことを理解していたのです。
両方に共通するのは、選択理論に基づいた指導法です。行動は自らの願望に動機付けられている。外からの刺激で相手をコントロールするのではなく、相手の願望を明確にする支援をすることによって目標達成に導いていく。これこそが、選手の力を最大に引き出す指導法だと確信したのです。外的コントロールによる指導は長期的に見たら誰も勝たせることはできません。身をもって体験してきたからこそ、それを伝えていくことが自分の使命だと思っています。選択理論が当たり前のスポーツ業界にするため、これからも活動してまいります。

Step.1-2
まとめ

心理的安全性なくして偉大な成果には繋がらない。
選択理論心理学にこそ、
選手の力を最大限に引き出す本質がある。