キックボクサー 治政館ジム所属 日本ライト級2位 青木 興之介
28歳にして現役復帰し、プロのキックボクサーとして戦い続ける興之介選手。格闘技といえば、屈強なフィジカルとメンタルを持つ選手たちが集うイメージが強いが、興之介選手は自らのことを「弱い存在」だという。いかにして日々の生活で巡り合う「弱さ」を乗り越え、過酷なトレーニングに取り組み続けているのでしょうか。
本音をいえば、とても弱い存在だ
キックボクサーとしては24歳でプロデビューしましたが、プライベートで挫折を経験したことをきっかけに、27歳で一度引退をしています。
その後、改めて現役復帰してここまで闘ってきました。
同じリングに立つ選手は、私より若い人がほとんど。
このハンデを克服するために、人一倍練習して強くなろうと努力しています。
しかし、私自身は正直にいうと、とても弱い存在だと思います。
ついつい楽な方に流されてしまうことがありますし、練習のためにジムに向かう途中も、「いきたくない」と思うこともあります。
特に試合前の緊張感は非常にハードなものです。
できることならもう味わいたくない、もう引退してもいいんじゃないかと、毎回の試合で感じているのです。
きっとそれは、私だけでなくほとんどの選手が同じなのではないかと思います。
だれもが生まれつき強靭なメンタルを持っているわけではなく、常に自分の弱さと闘っているのです。
人生を変えたのは「目的」との出会い
27歳で現役引退したタイミングでは、実はプライベートで離婚を経験しており、人生のどん底にいました。
「自分は大切な人を大切にできないダメな男だ。そんな自分が好きなことをやる資格なんてない」
そう思ってキックボクシングの世界から身を遠ざけて暮らしていました。
その頃、兄からの紹介で出会ったのが『頂点への道』講座です。
受講をするなかで、講師の「成功は技術である」という力強いメッセージに心を動かされました。
当時は、うまくいっていなかったものの、それがなぜなのかが分からず、未来に対して見通しがありませんでした。
しかし、選択理論心理学を学ぶなかで元妻との関係がなぜ悪くなっていったのか、そしてなぜキックボクサーとしてうまくいかなかったのかが紐解けていったのです。
この技術を体得できれば、諦めていた理想の自分に近づけるかもしれないと、受講をし、徹底的に日々の実践を積み重ねていきました。
なかでもいちばん私を変えてくれたのは「目的に生きる」という考え方です。
何のために戦うのか、何のために勝つのか、これをひたすらに自問自答し、深く深く落とし込んでいきました。
そして出てきた答えが、「大切な人たちに勇気を届け、成功する技術を伝えることで豊かな人生に導く」という目的だったのです。
この目的が私にとっては立ち返る場所となりました。
そして、これは一言でいえば、「愛」であると私のなかで腑に落ちました。
それならば、私が大好きなキックボクシングという競技で上を目指し、挑戦し続けていくことこそが、目的を果たすためにいちばん効果的であると思い、再度現役復帰することを決意できたのです。
辛い練習にめげそうなとき、弱い自分に負けそうなとき、いつも決めてやっているのが、「本当はどうなりたいんだ?」「人生の目的はなんだ?」という自問自答です。
そうすると、「大切な人を守れる、強くてカッコいい男になる」という答えが湧き上がってきます。
一度しかない人生であれば、必ず手に入れたい、絶対に諦めたくない。
そうやって自分自身を鼓舞し、トレーニングを続けています。
逆算して歩む今日の一歩が目的実現への足掛かりになる
ちょうど先日31歳になりました。
若さや勢いでは、同じリングに立つ若い選手にはなかなか勝てないということは、復帰を決めたときから目に見えていました。
なので、目的から徹底的に逆算をして練習方法や内容を変えていきました。
まず考えたのは、お客さんに喜んでもらうことです。
お客さんが求めているのは、感動的で見ごたえのある試合です。
それはどんな試合かというと、やはりKO勝利を収めることだと思ったのです。
これまではとにかく量をこなそうと、ガムシャラに練習をしていましたが、目的が明確になってからは、どうしたらKO勝利ができるのかから逆算をして、繰り出す技とその精度に磨きをかけ続けていきました。
その甲斐があり、現在はライト級2位までランキングを上げることができています。
先日のチャンピオンを掛けたタイトルマッチでは残念ながら勝つことができませんでしたが、会場には300名以上のお客様にご来場いただいて大きな声援をもらえました。
敗戦は非常に悔しいものでした。
しかし、応援いただく多くの方々のためにも、ここで歩みを止めるわけにはいきません。
今日の一歩の大切さをしっかりと噛み締めて、上を目指し続けて挑戦していきます。
そして、お客様や縁ある方々に、勇気をお届けすることはもちろんなのですが、それだけでなく、具体的に成功を手に入れるための技術を体得していただくお手伝いこそが使命です。
そのために、私自身が一人のプロスピーカーとして、成功の技術をお届けできる存在を目指して、邁進し続けていきます。
1988年、東京都生まれ。幼少期に兄と始めたテコンドーから格闘技と出会う。キックボクシングの魅力に惹かれ、2013年にプロデビューをする。一度の引退を経て、2018年に現役復帰を果たす。「愛を貫くキックボクサー」として慕われ、試合となると他選手を圧倒する、数百名の応援団が会場に駆けつける。デビュー以来の通算戦績は、19戦12勝6敗1分