理想とのギャップが自分を突き動かす

徳洲会体操クラブ所属
世界選手権 あん馬 金メダリスト(2013) 亀山 耕平

昨今、世界の舞台で数々の金メダリストを輩出し、国民の注目を集める体操。そのなかで、いよいよ迎える東京オリンピックへの期待の星の一人が亀山耕平選手です。2013年には世界選手権での優勝経験も持っていますが、自信家でもなければ、エリートとして成長してきたわけでもないといいます。一体何が亀山選手の原動力なのか、そして日々の練習でどのような工夫をしているのかを伺いました。

本番のように一本の練習を大切にできるか

体操は本番の一瞬が勝負のため、どれだけ練習を積んでも本番で発揮できなければ意味がありません。
そのため、ベストのパフォーマンスができる状態を本番でつくることが何より重要です。
そのために日々の練習で大切にしているのは、『本番同様に取り組めているか』です。

環境・相手・自分といったたくさんの要素を分けて考え、これらをできる限り本番に近づけられるように努力しています。
これができたときに、何が得られるかというと、自分自身の課題の明確化です。
本番でしか感じられない緊張感を持って取り組んだら、普段では見えないような課題が発見できるのです。

そして、課題が見つかれば、その解決のために練習メニューをどのように変えたらよいかを考えることができるので、次に向かっていくモチベーションが湧いてきます。
一つずつステップアップしている感覚があるからこそ、またがんばろうと思うことができるのです。

「練習は本番のように、本番は練習のように」といわれますが、本番を練習のときと同じイメージで取り組むことができたらパフォーマンスが上がるのはいうまでもありません。
そして、練習を本番と同じようにできれば、練習の質が一気に向上し、前に進んでいく力が得られるのだと思います。

すべての原点は「目指せる奇跡」への感謝

今、一番私自身を掻き立たせてくれているのが、間違いなく東京オリンピックです。
自国で開催され、自分が努力した分だけ周囲の方々への貢献につながる競技ができていますが、これは当たり前ではありません。

過去を振り返れば、優秀な成績を出し続けてきたような順風満帆なキャリアではありません。
何度も体操を辞めようと思ったこともありますが、そのたびに監督やコーチをはじめとした周囲の方々に支えていただけて今があります。
体操をやっているというよりは、させていただいているという感覚の方が強いです。

こうしてオリンピックを目指せることは本当に奇跡だと思います。
たくさんの方々の期待に応え、恩返しをしっかり形にするべく、なんとしてもオリンピックに出場し、結果を出していきたい、そう強く思っています。
残りの期間、一日一日の練習をしっかりと積み上げていきます。