伝説に導いた7年間の口癖~唱え続けたチャンピオンスピーチが現実に~

外資系生命保険会社 支社長 野口義人

「チャンピオンになる」 その目標を既に達成したかのように、毎日の口癖で自分自身を鼓舞してきた7年間。その間、支社長として約50名のメンバーを社内表彰の舞台に導き多数のMDRT会員を輩出してきたのが今回ご紹介をする野口氏です。その圧倒的な成果を支えてきたのは、一体どんな「暗示の力」なのか?活用法も交えて伺いました。

「口癖」によって手にしたチャンピオンの栄光

―どんな口癖を使って、成果を 手にされてこられたのですか? 

「今、毎日イメージし続けた壇上に立ち感謝と興奮で少し震えていますが、精一杯お話しさせていただきたいと思います・・・」

毎日の通勤の車でこのフレーズから始まる支社長チャンピオンスピーチをシミュレーションし、15分間の内容を暗唱出来るまで、繰り返し行い続けました。
実際に表彰台でそのスピーチをすることになったのは、シミュレーションを初めてから7年後のことでした。

スピーチ原稿は、大切な家族やメンバーそしてお客様への感謝を述べ、この職業の素晴らしさと、更なる目標達成を誓う内容です。
これまでに修正を幾度も重ね、10通り以上の原稿を作りました。

―具体的にどの様な成果を出されてきたのですか?  

「自己暗示」の取り組みをスタートしてから7年後、全国の支社の中で、最優秀支社長として、チャンピオンの栄光を手にすることが出来ました。
ここまでイメージし続け、唱え続けてきたスピーチが、現実のものとなったのです。

新潟に支社長として赴任をしてから3年間経つ現在では、約200名ほどの組織となりました。
この間、支社の売上が当初の140%に向上し、支社営業社員の平均年収が約150%UPの成長を遂げました。

逆境を力に変え、手に入れた真の願望

―チャンピオンスピーチ暗唱を行うようになったのはなぜですか?  

日本一の組織を仲間とともに作りたかったからです。

27歳で生命保険業界に飛び込んだのは、私にとって人生を賭けた決断でした。
プレイヤーというよりは、組織をマネジメントすることに徐々に興味を持ち始め、3年が経った頃、縁あって地元の新潟で営業所を新たに立ち上げるチャンスを頂いたのです。

「日本一お客様の役に立つ営業所にする」

そんな決意の元、所長としてのキャリアがスタートしました。
ゼロからの採用活動でしたが、生命保険営業という仕事に対して強い自信を持っていたおかげで、人を集めること自体には当初そんなに苦労はしませんでした。

しかし、スタートしてから2年が経つころには採用や教育などの難しさに直面し上手く行かない苦しみと将来への不安がピークになっていたのです。

一見するとチームとして成り立ってはいたものの、実情は思うような成果が出ておらず、この先どうすればいいのか、全く見通しが立たなかったのです。
チームの成果を上げるために人手を増やすしか方法がなく、しかし採用・教育は容易ではなく、「苦しい」の一言でした。

その現状をどうにか打破しようと、アチーブメント社で学びをスタートし、目標達成のノウハウの一つとして自己暗示の効果を知りました。
それを実践しようと始めたのが「チャンピオンスピーチの自己暗示」でした。

―実践することで、実際にどんな心情の変化がありましたか?  

心の底から自分をモチベートすることができました。
「人は内側の願望からしかモチベートされない」ということが非常によく理解が出来ました。

仕事をしていると、自分が立てている目標が、「自分がやりたいことか」「会社にやらされていることか」が良く分からなくなるときがあります。

私はそれまで、自分に対しても、メンバーに対しても会社としての目標や数字を一方的にこなしていくことしか求めていなかったのです。
それは、人の内側にある願望からの動機づけではなくて、外の情報によって動機づけしようとする行為です。
しかし、それでは上手くは行きませんでした。

そこで、心の底から湧き上がってくるモチベーションの源泉を確立させるために自分自身の願望と必死に向き合いました。

そうして気がついたのが、私にとって本当に手にしたいのは、成果ではなくて、縁する大切な人たちが喜び、幸せを手にする姿だったのです。
家族の笑顔、メンバーの笑顔、お客様の笑顔。本当に心から望んでいるのは、それらでした。
大きな成果とは、その他人の喜びの先にしか無いと改めて感じたのです。

初めは自分のためにチャンピオンを目指していましたが、私にとっての目指す理由が徐々に家族や仲間へと変化していきました。

その人たちの笑顔を想像すると、ワクワクせずにはいられませんでした。毎日の口癖にしていた「チャンピオンスピーチ」に加えて、デスクに表彰トロフィー写真や大切な人たちの写真を飾りました。
徹底的に脳内に達成するイメージを刷り込み続けたのです。

その取り組みはメンバーに対する接し方にも変化をもたらしました。「メンバーが自分で自分をモチベート出来る状態を作る」という指針が見え、相手の願望に興味が持てました。

一番ワクワクする状態を親身に聞き、それをどう仕事で手にするかを一緒に考えました。
主役は私ではなく一人ひとりのメンバーだと、捉え方が変化したのです。

サポートに徹した結果、組織としての成果が向上していきました。
チャンピオンを獲得した翌年には、支社内の営業所長と育成担当のマネジャーが、社内表彰で全国1位を獲得しました。

支社長チャンピオン表彰式の様子
支社長チャンピオン表彰式の様子

心おどる状態こそが、圧倒的成果の源

―なぜ自己暗示を行うことが成果に繋がるのでしょうか?  

周りに左右されない強いモチベーションを持ち続けることができるからではないでしょうか。
「心の内側からモチベートされる」と言うのは、達成見込みや数字などの理屈ではなく、情緒的・感情的な要素が必要だと思います。

もし我が子が列車の通る線路で遊んでいたら、恐らく誰でも、駆け寄って無理矢理でも引き下ろし「そこは危ないところだから絶対に遊んではダメ」と伝えると思います。
そう本気になれるのは、「命を守りたい」「幸せになってほしい」という強い強い気持ちと愛情の表れなのではないでしょうか。

それぐらいの他人に対する愛情と無意識に湧き上がるモチベーションをビジネスで持てたとき「成果を出す」という思いが、ある意味で執念に変わるのだと思います。
その執念が行動力を生み、行動が結果を呼ぶのだと思います。

心おどる状態をキープし続けることができれば、必ず成功出来ると確信しています。
私にとって「暗示」とは、その状態を作り続けるための重要なツールです。

 

取り組み
・毎日車の中で繰り返したチャンピオンスピーチのリハーサル
・デスクに飾られた心おどらせる数々のイメージ写真とメッセージメンバーと共に行なった「執着できる願望」の明確化
・これまでの達成者の写真を飾り 自分自身を鼓舞し続けてきた
⬇︎
成果
・営業職入社社員初の支社長チャンピオン
・3年で140%に向上した売上
・150%に伸びた支社平均年収
・新潟支社から所長チャンピオンを輩出
・新潟支社の育成マネジャーが全国1位を獲得

 

野口 義人(のぐち よしひと)
1976年生まれ。2004年に旅行会社での営業経験を経て、生命保険業界へと転職。地元の新潟でいち営業社員として、保険業界でのキャリアをスタートし、実績を積みながら3年後に管理職に職種変更する。その後、2012年に支社長に就任し、2015年には営業職入社史上初の支社長チャンピオンタイトルを獲得する。その育成力を評価され、今では新潟支社の統括を任され、約200名のメンバーを率いている。