社員の自己実現を追及し、業界平均13倍の成果を達成

株式会社KyoMi 代表取締役 柏本 知成

障がい者就労支援業界で、もともと経営していた学習塾のノウハウを活かし、業界平均の10倍以上の成果を上げて、注目を集めている株式会社KyoMi。事業立ち上げのきっかけは社員の自己実現の追求にあったという。いかにして自社の成長と社会貢献の両方を手に入れてきたのか、代表の柏本氏に話を伺いました。

社員の自己実現を追求し、立ち上げた事業

年上の妻を幸せにするために、自由を求めて24歳のときに学習塾を開業しました。
最初の数年は必死にもがきながら働き、少しずつ成長し、学生講師を雇うようになった年、預かった生徒全員が志望校に合格しました。
彼らの努力を考えると、こみ上げてくるものがあり、非常に感動的だったのですが、学生講師たちを見ると、自分とはかなり温度差があったのです。
悲しさと、仕事の喜びを味わわせてあげられなかった申し訳無さが重なり、言葉にならない思いでいっぱいでした。

そのときに初めて私が目指していきたい理想の組織を考えたのです。全員がやりがいを持ち、自分らしさを発揮し、イキイキと働く組織にしたい、そう強く思いました。

後に受講した『頂点への道』講座で青木先生がおっしゃった「会社は社員の自己実現の舞台である」という言葉に心から感銘を受け、そんな組織を目指すと誓ったのをよく覚えています。

その後、全員と定期面談をして願望を聞き、仕事プライベート関係なく心を許せる関係を築く努力をし、学習塾講師という仕事の魅力を全力で伝え続けました。
そんな努力が徐々に功を奏し、次第に講師たちの生徒への関わりが変化し、生徒の成績が全体的に上がっていきました。

その矢先、初の正社員採用をした弊社の二番手社員との定期面談で、彼が本音を打ち明けてくれました。
「柏本社長と働きたくてこの会社にいますが、いずれは障がい者施設で働こうと思っています。重度の自閉症の兄がいまして、高齢の両親が働けなくなったら、自分が兄の人生を背負って、働きながら面倒を見たいからです」と話してくれました。

「彼がつくべき仕事は本当に学習塾なのか?」「この会社は本当に自己実現の舞台になっているのか?」と、真剣に考えました。

ちょうどその頃、保護者の方からも軽度の発達障がいの子どもが学校についていけないという相談をよくいただいており、障がいという存在と向き合う機会が多かったタイミングでもありました。
確かに努力次第で成績を上げてあげることはできるけれど、もっと本質的にご家族のためにもなる支援がしたいと思っていたのです。

その後、アチーブメントのセミナーに登壇した坂本光司先生の講演で、「今後は、障がい者・高齢者・女性に優しい会社が生き残る」とメッセージをされており、タイミングが重なってか、雷が落ちたような衝撃を受けました。

社員にもお客様にも社会にも求められているのであれば、これはもうやるしかないとその場で決断し、二番手の彼を責任者に、障がい者就労支援事業を立ち上げたのです。

顧客と国の求めるものを徹底的に考え戦略に落とす

この道を選んだ彼を絶対に勝たせたい、そのために必ず成果が出る事業にすると心に決めて、まず業界と国の制度を徹底的に調べました。
今の社会の構図は5人の納税者が2人の税金受給者を支えています。これが2060年には3人に2人になるのです。国もこの状況を解消しようと外国人労働者の誘致や年金支払期間の延長をし、納税者を増やす努力をしていますが、あまり本質的ではないと感じました。

比べて就労者支援事業は、働きたいと思っている税金受給者を納税者に変える支援であり、国を支える取り組みだと確信がもてました。
しかし、雇用施策対象者数が300万人以上いるのに対して、業界の平均は1事業所あたりの年間就労者数が1.9人、全国合計でも2万人強。働きたくても働けない現状なのです。

そうであれば、私たちにしかできない事業を作っていこうと、事業戦略を立てていきました。

力を入れたのが完全逆算志向の進捗管理。
資格試験や検定などは受験と同じことなので、学習塾で培ったノウハウが全面的に活きました。
成績に関しては非常にシビアな世界で闘ってきたので、逆算の精度や方法は、何度も試行錯誤をし、絶対にほかの業種には負けない自負がありました。

それに加えて、『頂点への道』講座で学んだ選択理論心理学を応用して、うつなどの精神障がいを持たれている方に対して、葛藤を解消していく考え方を伝え、自分で自分の欲求を満たす行動を選択できるようにサポートしていきました。

ずっと支援が必要な関係ではなく、独り立ちして生活できることを目指して一緒に取り組んでいったのです。

徹底したプロセス管理で高い就労率を誇る
徹底したプロセス管理で高い就労率を誇る

業界平均13倍の成果、名実ともにトップを目指して

その結果、現在は2つの事業所をもち、昨年は合計で52人の方が新たに職に就かれました。
業界平均で言うと、13倍の結果です。
事務所の収容人数に対する年間就労率で考えても、国が提示する目標は30%に対して、130%を記録しました。

なかでもとても印象的なストーリーがあります。
就労された方が、職場で気難しいとされていた方とうまくコミュニケーションを取る姿をみた同僚の方が、感動をして選択理論に興味を持ってくださったのです。
ぜひ選択理論の勉強会をしてほしいと言われ、私に声がかかりました。心の底からうれしかったです。

しかし、まだまだこれでは足りていないと考えています。
働きたいと思っているのにも関わらず、働けない方がまだ大勢いるからです。
そんな方々がもし全員働けるようになったとしたら、日本はどれだけ明るい国になるのでしょうか。

障がいを持って生まれても、生きがいのある人生を胸を張って送ることができる。
税金の面で考えても、かなりの負担が減ることになります。
そんな社会を目指して、業界の常識に左右されることなく、理想をどこまでも追い続けていく企業でありたいと思います。

そして、私を信じてついてきてくれた社員のためにも、必ず社会貢献と事業成長の両方を作り出し、未来永劫発展し続ける組織を生み出していくことを、心に誓っています。

 

取り組み
顧客・国家の求めるものから逆算し、これまでの経験を強みにした、障がい者就労支援事業を立ち上げる。
成果
■1事業所あたりの就労移行人数が、業界平均の約13倍(業界平均1.9名に対して26名)
■年間就労移行率が、国家基準の4.3倍(国家基準30%に対し、130%)