STEP3-1.ケースごとの関わり方を学び、実践する

Q.達成経験が少なく、自信を持てずに
やるべきことに集中していない部下をどう育てるか?

A.仕事の関係を超えて、彼・彼女の人生に対して、
純粋な興味を持って関わることから始めましょう。
実績紹介
『頂点への道』講座受講から3年、マネジメントを基礎から学び磨き続ける
売り上げが低迷していた事業部を、140%達成が当たり前の文化にまで変革
自信のなかった部下が主体性を発揮し、事業責任者を担うようになる

真心を込めた傾聴の先に信頼がある

達成の文化を組織に創り出すのはそう簡単ではないですよね。私も小さな組織ですが、3年間変革にチャレンジした経験を通して、心からそのように感じています。紆余曲折ありました、一筋縄ではうまくいきませんでした。正直、怒りが爆発しそうになったことは数え切れません。そのたびに『頂点への道』講座で学んだ選択理論心理学の考え方に立ち返りました。「人は、内側の願望に動機づけられて行動をする」。では目の前の社員は何を望んでいて、本当はどんな人生を送りたいのか、この会社を選んだ理由、ともに働いている理由はなにか。そう興味を持とうと努力をしました。「聞いたところでなにになるんだろう」「ちゃんと働かなかったら意味がないよな」心に浮かんでくるそのような言い訳、これまでの私の考え方の癖と戦いながら、とにかくまずは社員の話を聞くことからスタートしました。決めていたのは、必ず本気で関わり切るということでした。
長い人生のなかでは、誰しもが真剣に話を聞いてもらって嬉しかった経験があると思います。それは大切にしてもらえたという気持ちを感じたからではないでしょうか。社員に対して、私にできることは多くないかも知れませんが、そのような温かさを与え、本気で接することだけは胸を張ってできると思ったのです。面談はときには3時間に及ぶこともありました。そして一人ひとりの思いに触れれば触れるほど、絶対に勝たせたい、豊かになってほしい、成功してほしいと強く思うようになっていったのです。これまでは、社員にどう好かれるかばかり考えていましたが、真逆で、私が本気で社員を好きになることから始まると学んだのです。その第一歩が、本気で聞くこと、傾聴することだったのです。

願望が実行力を高め、達成に導く

次に、願望実現のためのプランを一緒に考えました。会社を負かせてはいけないので、譲れないことも多いのですが、そのなかで模索し、取り組んでいったのです。しかし、どれだけ良いプランを立てても、人はそう簡単には変わりません。諦めてしまうことも、楽に流されて目標に集中出来ないことも、多々ありました。これまででしたら、罵倒して無理矢理にでもやらせていましたが、願望を知っているからこそ、掛ける言葉は「どうなりたいんだっけ?」だけで成り立つようになったのです。願望が明確だからこそ、いまやっていることが効果的かどうか自分で判断できます。もしその判断がずれていると感じたなら、はっきり伝えるようにしています。「今のままでは実現しないと思うよ」と。その上で、「なんでこの話をしているかわかる?本当にあなたに良くなってほしいからだよ」と期待を伝えます。フィードバックとは、指摘と期待を対にして伝えるからこそ、きちんと受けとってくれるものだなと経験を持って理解できるようになりました。おかげさまで事業は大きく成長しており、目標の達成は当たり前の組織に生まれ変わりました。今思うことは、マネジメントとは技術だということです。磨き続けることで必ずレベルアップしていくものだということです。社員を思い社員に寄り添って、共に成功していく組織を目指してこれからも前進し続けてまいります。

ときには3時間にも及ぶ面談で、
スタッフに自信をもたらし、主体性を引き出している

株式会社AC15 専務取締役 アルコビ 美奈子
建築事業部とペットライフ事業部の2部門を専務取締役として統括。長らく売上が低迷していたところから、マネジメントをゼロから学び直し、現在では社員の育成を一手に担っている。また採用や社内環境の整備なども積極的に取り組んでおり、コロナ禍でのペットホテルの需要激減といった逆境に苦しむなか、売上昨対比140%の成長を創り出し続けている。
エイローのワンポイントアドバイス!
「適切なマネジメントとは、強制と放任の間です」
選択理論を学ぶと言いたいことが言えなくなってしまうという声をよく聞きます。特に今回のような自信がない部下に対しては、強く言うと折れてしまわないかという心配の声もあるでしょう。しかし、それで放任してしまっては何も変わりません。
マネジメントで大事にすべきは部下の成長に焦点を当てた情報提供です。上司の利己的な思いではなくて、部下の自己実現を見据えた情報提供です。これは放任や甘やかすとは全く別の概念です。致命的な7つの習慣を使わずに、内発的な動機付けにより主体性を引き出すのです。
そのプロセスには、たくさんの留意すべき点があります。目標勾配が適切か、プランが明確か、実践するための障害はないかなどです。上司も部下と一緒になって検討を重ね、ベストな方法を模索していくしかありません。そして、その積み重ねによって、部下に小さな達成を経験してもらいます。それが、やがて大きな自信に変わっていくのです。諦めずに辛抱強く関わりましょう。そして、この力はセンスではなく、技術ですので、ぜひトレーニングして体得していきましょう。心から応援しています。

アチーブメント株式会社 相談役/主席トレーナー
アチーブメントHRソリューションズ 株式会社 取締役社長 佐藤 英郎

年商40億の研修会社に育て上げ、プロ教育コンサルタントとして独立。その後アチーブメント株式会社に入社。コンサルタント・講師として35年以上活動しており、250社以上、延べ約23万名の研修実績をもつ。特にコーチングに強みがあり、世界最高タイトルである国際コーチ連盟「マスター認定コーチ」の一人。

▼特集「恐れのない職場のつくり方」一覧へ戻る▼