志を果たす情熱が組織に伝播したとき、奇跡が起こる

SBCメディカルグループ 代表 相川佳之

日本一の美容クリニックとして知られる「SBCメディカルグループ」。2000年に神奈川県藤沢市で開院し、わずか20年で国内外100院以上の展開を実現。実に90%の方がリピーターという、圧倒的な満足度の高さを記録している。創業時から変わらぬ志を持ち続け、4500人のスタッフのトップを務めているのが、代表の相川佳之氏です。数々の苦難を乗り越えてきた強靭な組織を、どのようにして創り上げてきたのか?その成長秘話を伺いました。

いつの日も変わらなかった「一番になる」という思い

SBCメディカルグループは、今年の3月をもって、創業から20周年を迎えました。
おかげさまで規模としては国内最大の美容クリニックとなりましたが、これは長らく目指し続けてきたマイルストーンの一つです。

私が美容業界に飛び込んだのは、「コンプレックスを持つ人の悩みを解消したい」というシンプルな思いからでした。
私自身背が低いことをコンプレックスに思っていましたが、相談をしてもまともに取り合ってくれる医者はいませんでした。

「コンプレックスに寄り添って、一緒に解決できる医者が必要だ」そう感じ、最も実現できるのが美容だと思ってこの業界を選んだのです

そして、創業から20年間、特にこだわってきたのは「一番を目指す」ということです。
施術数、満足度、院の規模、リピート率など、フェーズに応じてさまざまな「一番」を目指してきました。

なぜそうしたかというと、お客様の喜びを徹底的に追求した自信あるサービスを、一人でも多くの方に届けたかったからです。
そのためには、選んでもらうだけの信頼・実績が必要です。
だからこそ、「なんでもできる」ではなく、「これであれば絶対に誰にも負けない」という分野を持ち、そしてその数をいかに増やせるかどうかが、信頼を高めるための重要な指標なのです。

例えば、日本一高い山は「富士山」だと誰もが知っていますが、二番目はどこでしょうか。
知らない方のほうがきっと多いでしょう。

一番と二番の差は、二番と一〇〇番の差よりも大きいものだと、私は思うのです。一番になるということは、それだけ社員・顧客・社会に認められ、影響力があるということです。
だから、一番を目指す。20年間変わらず大切にしてきました。

もちろん、スタッフにもことある毎に伝え続けてきました。「三方良しの経営を追求し、トップを目指す!」という思いに共感し、入社してきてくれたスタッフたちが、ここまでの結果を創り出してくれたのです。

他社を圧倒する成長戦略で差をつける

創業から20年で100院突破するという目標を掲げ、先日無事達成することができました。
異例の成長スピードと言われることがありますが、これは意図して創り出してきたものです。

創業した当初、美容業界での「当たり前」は今とはまったく違いました。
料金や効果性が不透明で怪しいイメージがまだまだ強かったのです。
コンプレックスを解消して、一人の人生を変えられる素晴らしいサービスにも関わらず、世の中からはまったく違うように見られていました。

サービスクオリティの面からも、価格の面からも、業界そのもののイメージを変えなければいけないと思いました。
それを実現するためには、自分たちがとことん良い評判をいただける結果を残すしかない、そのために常識を覆す成長をやってのける必要があると、強く決意したのです。

それからは、業界を問わず成功事例の情報を徹底的に仕入れ、応用できることは徹底的に応用しました。
加えて、業界の常識を疑い、本当にお客様に喜んでもらえることであれば迷わず実行してきました。

もちろん、「常識」に真っ向から挑んだので、同業から煙たがられたり、信頼していた人に裏切られたりした場面もたくさんありましたし、成長スピードについていけないと言われて多くのスタッフが離職したこともありました。
しかし、それでも業界を変えるためには必要なことだと心に決め、成長戦略を取り続けることに一貫してこだわってきました。

その結果、創業当時では出会えなかったレベルの人材が集まり、そのスタッフや医師たちが大きな成果を創り出してくれて、更にまたグループ全体のステージが上がっていったのです。

目指す理想を掲げ、そのための成長戦略を明確化し、諦めずに取り続けていくことができれば、必ずその志に見合う人材が現れます。
もちろん組織内で育つこともあります。
それだけの魅力的な未来を描き、そして目指し続けるのはトップの経営者の仕事だと思うのです。

どんなことがあっても、一貫してメッセージを伝え続けてきた
どんなことがあっても、一貫してメッセージを伝え続けてきた

経営者の信念が結果を左右する

「なぜ諦めずに目指し続けられるのか?」この質問は多くの方にいただいてきました。

「相川さんだからできることですよね」「なにか特別な才能をもっていますよね」「どんなことをやったら、そうなれるのですか」と、いろいろな見方をされますが、私としては難しいことは一切していないつもりです。

『頂点への道』講座で学んだセルフカウンセリングや、毎朝目的目標を見ることや、逆算思考で具体的にプランニングして実行していくこと、成功者としての習慣形成を行っていくことなどのアイデアを実行しているだけです。

特にそのなかでも習慣形成が何より大事だと感じています。
「これが私の当たり前だ」という基準を上げれば上げるほど、掲げる目標の達成へと近づいていくのです。

難しいことでもなければ、特別な人にしかできないことでもありません。

「何を目指すのか?」「何のために、誰のために、なぜ目指すのか?」「そのために何をやるのか?」こういった自問自答を繰り返し、考え抜くという毎日の小さな行動習慣を積み重ね続けるなかに、経営者としての絶対に揺るがない信念が生まれてきます。

この信念が、達成への強いこだわりという名の情熱と化して、組織に伝播していき、社員や顧客、関係者を巻き込んで、大きな成果へと結びついていきます。

最近では、よりコアとなる幹部と、未来の戦略を考える時間を増やしています。
現場に出れば1日で数百万から数千万の売上を作ってくる人たちなので、彼らの時間を数日間抑えるというのは、かなりの損失になります。
しかし、それ以上に全員で未来を描き、それを形にしていくための具体的なプロセスを明確化できたほうが、組織としての団結力は絶対に上がると信じています。

今後も、当たり前のことを徹底的に取り組んで、世界一の医療グループを目指して参ります。

 

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